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北鹿川柳

川柳でユーモアのある街づくり
「川柳わらべの会」の協力を得て、平成7年にスタートした北鹿新聞社主催事業。管内5カ所に投句箱を設置し、広く読者の作品を募集しており、寄せられた作品の一部を毎月15日付の紙面で紹介しています。その中で月間賞に輝いた秀句を掲載します。

2024年8月

NEW
孫発った朝はひんやり椅子淋し     片岡登代子
 【評】家族愛の味わい深い作。「椅子淋し」はまさに実感句。
今日の味決まらず愛をひとつまみ    畠沢ヤエ子
 【評】「愛をひとつまみ」すばらしい表現。どんな料理になったのか食べてみたい。
水やりはオシマイ君はもう飛べる    三浦 紀子
 【評】テンポの良さ。斬新な着想に引かれる。
愚かでも親にもらった体です      吉原 キヨ
 【評】課題の「愚か」と「体」を当てはめたような句です。じ~んと来ますね。親の子として生きましょう。
有頂天欠けていましたデリカシー    児玉ユキヱ
 【評】喜び舞い上がって、周囲が見えなくなる愚かさ。でも日本人は繊細。五輪でもいくつか見えましたよね。
爺爺(ジイジイ)を孫と蝉とが取り合いす  高谷 勝子
 【評】夏に鳴き始めた蝉の声で、孫だけでなくジイジイとうるさい。「お爺さん」が聞きたい。

2024年7月

ほほ染めてつないだその手今は杖     珠井 妙安
 【評】つなぐ手は同じでも昔と今では違う。歳はとりたくないが相手がいることはうれしいですね。
ご希望に添いかねますという鏡      三浦 紀子
 【評】鏡は正直です。ご希望通りには参りません。鏡の気持ちわかります。
陽(ひ)を抱いた布団に眠るこの至福   児玉ユキヱ
 【評】「陽(ひ)を抱いた…」の表現がすべて。紫外線をたっぷり浴びふっかふか。熱で繊維が焦げた匂(におい)もして。熟睡ですよ、もう。
女より女らしくと女形          伊東 誠子
 【評】女より美しいのは「女形」、誰からどのように「女」を身につけるのか。玉三郎にゾクッとさせられた人も多いでしょう。「女」を三度使って見事なリズム。
開けてます暮らしの中の言葉窓      芳賀 ヒサ
 【評】上手に心の言葉窓を開けておきましょう。閉じる、開けるの機会は慎重に。時には陽(ひ)を入れる事も忘れずに。前向きな日常を感ずる一句。
骨を折り風呂も着替えも妻頼み      古川 哲生
 【評】日常特に感じていなかった生活不安が現実になった時は、援助を求めましょう。頼む立場になると心は柔ぎます。人生色々、体験もプラス方向に。

2024年6月

靴底が教えてくれる歩き癖      伊藤久美子
 【評】自分の歩き方を正確に知ってる人は少ないと思います。必ず特徴はあるはず。探検隊がそれは靴底だと結論づけたのですね。姿勢を正し靴に感謝して歩きましょう。学びの一句ですね。
茶髪の男(こ)老いたる人に席譲る    長崎トモコ
 【評】「席譲る」の場面の表現に瞬間心の温(ぬく)もる感をもちました。茶髪の男(こ)と読んだのは特別意識があったのかも知れませんが特別の事をしたのではありません。句を読んでホッとしました。
値上りで薄着をさせた鯵フライ      須藤 良子
 【評】「値上り」といつもより薄い「鯵フライ」が今般の庶民生活の現実を鮮やかに詠んでいると思います。すっぱ抜きましたね。
このままで生きていきます怠け癖     伴  朝子
 【評】生来のんびり屋なので、別に怠けているとも思わないのですが、生きていきますこのままで。潔く力強く前向きです。
古傷が疼(うず)きだしそな独りの夜   清水てい子
 【評】まわりに人が居なくなると、過ぎし日の事が思われて、しかも失敗や感情の高ぶった日のことが、鮮やかに嫌(いや)みたらしく浮かんできます。一杯飲みましょう。
目も耳も都合に合わせ見え聞こえ     伊藤 雅之
 【評】欲目もあり、地獄耳もあり、その場に応じて五感が働く。時には働きすぎる。ヒトだもの、高等動物だもの。

2024年5月

AIに愛の深さは解らない        須藤 良子
 【評】AIの集めた情報・知識から、愛の深さを推論されたら、人間要らない。コンピューターに負けぬ深い愛を持とうか。きっぱり言い切る軽みがいい。
幸いかな悪事に使う頭脳無く       伊藤久美子
 【評】悪知恵くらいは誰でも持つが、国際犯罪の極悪頭脳は恐るべし。「かな」は気持の共有でしょうか。お互い無くて良かったですね。
桜散り玄関チャイム初夏を待つ      高谷 勝子
 【評】去るものは追わず。チャイムは又新しい季を迎える事に準備完了。いつでもどうぞ。夏のさわやかさを感じます。
老いてこそ常に感じる洒落ごころ     佐々木清子
 【評】老いを感じたら必ず鏡と対する時間を待ちましょう。何故?今のままでいられるように願いも込めて。「洒落ごころ」決め手の五字ですね。
大文字見えて安堵の旅帰り        畠沢ヤエ子
 【評】「おつかれさま」と迎えてくれるシンボルがあるだけで旅の疲れも忘れますね。「安堵」の表現ホッとした気分になりました。
飛びなさい糸はとっくに切れている    児玉ユキヱ
 【評】いつまでも親の庇護のもとにあると思うな。行きなさい。親のきびしさが優しく出ていてリズム抜群。

2024年4月

ホームラン口笛吹いて部活終え      高谷 勝子
 【評】「口笛吹いて」が何んとも言えぬすがすがしさを表現し少年像が浮かぶ。
三度乗り体重計に諭される        芳賀 優子
 【評】三度も乗られると体重計も困りますよね。温かさとユニークさが伝わる。
同病者慰め合って四人部屋        珠井 妙安
 【評】四人部屋は狭くてプライバシーを不安がるも、退院の日は、一皮剥(む)けて皆いい顔。後日訪問し 合った人も。人生修養です。
美辞麗句並べて乗せる口車        三浦カツヱ
 【評】口先でのうまい言いまわしに騙(だま)されて、乗ったことは誰にもあるでしょう。口三味線とも言う そうな。作者もたぶん。
ありがとう言霊(ことだま)乗せてブーメラン   須藤 良子
 【評】ありがとうの五文字は、生きてゆくための潤滑油の様なもの。ブーメランに乗って必ずもどって来ま す。待ちましょう。
孫の口真一文字の初出勤         長井 幹子
 【評】お孫さんの凛凛しい姿、まるで若武者のイメージですね。初戦場へ。応援しましょう。
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