北鹿新聞の歴史
苦難を粘り抜いたエネルギー。
それは、郷土を愛する “新聞社魂” でした。
ー創業大正7年。 北鹿新聞、1世紀の歴史ー
北鹿新聞誕生のきっかけは、小さな印刷所を営む一人の男の情熱でした。鎌田四郎、当時30代。彼を突き動かしたのは、「郷土史誌を発行して後世に伝えたい」という思いでした。
鎌田は、資金や協力者を集めるために奔走し、養家の財産までつぎ込んで「大館戊辰戦史・附大館沿革史」を発行します。一千ページにもおよぶこの書籍は、後世の大館沿革史研究のバイブルとなっています。
ところが、無謀とも思えた一大事業を立派に成し遂げたものの、あとに残ったのが「赤字経営」でした。発刊のために準備した印刷資材と人員が余ってしまったのです。本業の印刷業は、はがきや名刺などが中心だったので、この体制を有効活用するために、鎌田は「新聞の発行」に着手します。
そういう意味では、北鹿新聞は苦難のスタートを切ったと言えるかもしれません。しかし、苦難はスタート時だけではありませんでした。大正8年と、昭和28年の2度にわたり、大火によって社屋一切を消失する災禍に遭っています。そのほかにも、戦時下で廃刊を余儀なくされたこともありました。
しかし、どんなに絶望的な状況でも、北鹿新聞はその都度立ち上がってきました。その不屈のエネルギーを支えたものは、「郷土、地域、生活者への愛」にもとづいた“新聞社魂”です。
創業から一貫して受け継がれてきた、地方紙としての「こころざし」です。北鹿新聞社の歴史を振り返ると、歴代の代表者たちが地方紙の魅力と存在意義を雄弁に語っていることがわかります。
私たちは、この北鹿という地域の中で、どのような存在で有り続けるか。連綿と受け取り続けたバトンを、次の100年に渡していくために、小さな新聞社にしかできない輝きを、これからも磨き続けてまいります。