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北鹿川柳

川柳でユーモアのある街づくり
「川柳わらべの会」の協力を得て、平成7年にスタートした北鹿新聞社主催事業。管内5カ所に投句箱を設置し、広く読者の作品を募集しており、寄せられた作品の一部を毎月15日付の紙面で紹介しています。その中で月間賞に輝いた秀句を掲載します。

2023年1月

薄くなる財布宥(なだ)めて秋刀魚焼く  児玉ユキヱ
 【評】ついに今年はサンマが目に入らなかった。いや、目にも入れなかった。高くて高くて。財布を宥めて買った作者、立派です。
人生を楽しめる人勝者です        伴  朝子
 【評】スマホで話してラインして、友と会って旅をして楽しんで、熟女となって長生きは女性。男は熟す暇も意欲もない。平均寿命は歳対歳。
痛む友の無念の文字に涙あり       三浦津彌子
 【評】無念の文字に感極まった姿が見える。緊迫感があり味わい深い作。
托鉢のチャリンと遠く亡母の声      珠井 妙安
 【評】「チャリンと遠く」何とも言いようのない親子の絆。温かさと切なさが伝わる。暮れのさびしさの一面もありたくみな文章。
一筆の近況添える年賀状         上杉 洋子
 【評】印刷された画一的な文面に一行でも肉筆の文をみた時はホッとする瞬間。温かみがこぼれますね。
千鳥足帰巣本能あると見え        石田よし子
 【評】千鳥足でもいいじゃありませんか?間違いなく家の門を叩く御主人は立派です。「帰巣本能」と詠んだのには自信と信頼が見え隠れします。

2022年12月

しあわせをお探しですかならそこに    三浦 紀子
【評】幸せって近くにあって見えないもの。みんなで教えてあげましょう。「ならそこに」の表現がすばらしい。
孫の手は届かぬ隅のゴミ拾う       齋藤 妙子
【評】下の句の発見がするどくすばらしい。日常をうまく描写、「隅」も効果的である。
来年も生きるつもりの新手帳       石田えい子
【評】日記や手帳を買うシーズン。「生きるつもり」の意気込みが、新手帳へとつながる。前向きの軽み、潔(いさぎよ)さこそ川柳です。
女より女が上手い女形(おんながた)   梅村 房子
【評】女の人が見てもゾッとするほど女っぽいしぐさ。玉三郎の真髄に見惚れましたよね。この句もまた上手いこと。
憎しみを感謝で包み心晴れ        虻川 正美
【評】感情のせめぎ合いの場面、感謝で包みこむテクニックは技(わざ)が必要ですね。どんな手法だったのでしょう。最後の心晴れが笑顔の貴重な瞬間。
老いふたり言ってる事が噛み合わず    高林 政輝
【評】老いてくれば会話にもずれが生じて来る。でも何となくその往復にはユーモアもチラリ顔を出す場面もあるはずです。下の句「噛み合わず」に笑みがこぼれました。

2022年11月

深酒はしないつもりの千鳥足       伊東多喜子
 【評】誰も皆、深酒はしないつもりで飲んで、結果は千鳥足。酔った人独特の歩き方。じっくり千鳥は見ていないが。無駄のない語の配置。
叱りたる子に叱られて老い達者      岩谷 隆史
 【評】達者は達人。丈夫でぬけ目なくしたたか。趣味も多く広い心を持つ。叱る子供達だって頼りにしてますよ、きっと。
酔う程に酒は無口を喋らせる       児玉ユキヱ
 【評】日常無口な人程、お酒の席では賑やかになる。よくある風景ですね。人が変わったかの様に多弁になる。酒は緊張をほぐし本当の姿を見せてくれるマジシャンなのでしょうか。
赤い糸五十年過ぎ金色に         芳賀 優子
 【評】お互いに結び合った赤い糸も金婚式にはゴールドに輝いて祝いの日を迎える。これからも幸(さち)多かれとエールを送ります。
菓子箱の余白をうめる孫の文       畠沢ヤエ子
 【評】ストレートな表現が素直で気持ちがよく表れている。孫さんからの手紙は何よりのお土産。
病院で元気かと聞くウッカリさん     庄司ふさお
 【評】よくある場面ですが、なかなか気がつかないものです。「ウッカリ」が効いています。

2022年10月

天高く恋の季節ねアキアカネ       加福みよこ
 【評】高く晴れた空、馬が肥える秋に、アキアカネは燃えて恋をするという。尻尾なのか背中なのかを真っ赤に染めて。じっくり見てみる。
幸せな時は気付かぬ隙間風        伊多波サヨ
 【評】二人の間にそよそよと気持ちよく吹いていた風が、いつの間にかよそよそしい風になってきた。親密だった人との間を穿(うが)つ川柳の眼が光る。
夢のかけら買ってみました通販で     伊藤みつ子
 【評】本当に夢の様な句ですネ。結果は内緒ですネ。「通販で」がまたよし。
十指からさらさら落ちる記憶力      岩谷 隆史
 【評】記憶力を「さらさら落ちる」で表現出来るすばらしさ。味わい深い作、着眼の妙。
何もせず飾りボタンという役目      片岡登代子
 【評】何か一言いいたいけれどおしゃべりは出来ないのが飾りボタンの宿命。でも役目はキチンとあるのです。存在価値の大きさに自信をもちましょう。
疎ましいでも捨てがたいその助言     三上タツ子
 【評】助言をうとましく思う人は成長しません。「捨てがたい」とちょっとだけ立ち止まってみる。心の栄養剤として大事に頂きましょう。

2022年9月

人生をやり直しても又わたし      三ツ倉奈美子
 【評】今生きる日々に満足。来世もまた、すばらしい人生これからも。
人生に色を塗るなら今ピンク       三浦津彌子
 【評】今が人生真っ盛り。一日が充実して楽しい毎日が目に見えるようです。
人生の勲章背負う深い皺         三上タツ子
 【評】皺は生きた証(あかし)といわれます。深い皺ほど重い立派な勲章なのです。名誉として時々長い人生を語るのもいいですね。
折れそうな心化粧で支え立つ       石田えい子
 【評】心が晴れない時、何かにすがりたくなった時、少し明るい口紅(べに)をうっすらとひいてみましょう。自然と笑みがこぼれます。表情が動きます。生きてる喜びが生まれますよ。
老いを生きてあ・うんの呼吸が支え合う  長井 幹子
 【評】共に何かをする時、二人の一致する微妙な気持ちがあれば、まだまだ長生きします。見習います。威厳と深みのある句です。
読み聞かす子の胸に種蒔くように     三浦 紀子
 【評】何かに役立って欲しいと思い、心をこめて読み聞かす。「種蒔くように」が心憎い。語の配置、リズム抜群。
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