アレルギーとは~食物アレルギーを中心に~
大館市立総合病院
臨床検査科部長 高橋義博
アレルギーとは、免疫反応が関係して、あるものに対して過敏に反応する状態のことを言います。本来、免疫とは体を守るための防御システムで、このシステムをうまく利用しているのが予防接種です。アレルギーとは、自然界のなんでもない物質(抗原、アレルギーの場合はアレルゲン)、たとえばダニや花粉、通常食べている食材に対して不都合な反応を起こす物質IgEという抗体が、体内にできて起きる反応で、このIgEが体内に増えると、そのアレルゲンに対して敏感に反応してしまい、いろいろは症状を引き起こします。このIgEを作りやすい体質は、遺伝的にかなり決定されていて、アレルギー体質といわれ、なかなか変えられませんが、何が悪化因子かを知って、環境を整えることでアレルギー病の発症を予防できたり、症状を軽くしたりすることができます。
アレルギー病には、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・結膜炎、花粉症、じんましん、食物アレルギー等があります。何がアレルゲンになるか、どういう反応がおこるかは、個々に異なり、年齢によっても違い、環境によっても左右されます。また、どんな反応がおこるかによっても病気が違ってきます。乳児期は、皮膚・腸管の防御機能が弱い時期であり、皮膚や腸管からアレルゲンの侵入が起こり、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーが起きやすい状況です。
子どものアレルギー病は増えています。気管支喘息の有症率は2004年の調査で児童生徒では5・7%と報告され20年前の2~3倍で、2013年では5・8%と増えています。食物アレルギーは、2004年は2・6%が、2013年は4・5%とほぼ倍になっており、さらにショックとなる食物アナフィラキシーは2004年では0・14%が2013年では0・48%と、4倍近くに増加しています。食物アレルギーを持つ子ども達は増加していますが、一方では、3歳くらいになると腸の中で食物アレルゲンを処理して体が受け入れるようになる子どもたちが多くなっています。子どもでは成長とともに食物アレルギーは減少し、その後は年齢と共に、気管支喘息や鼻炎、花粉症が中心になってきます。
食物アレルギーとは、特定の食品によって起きるアレルギー反応です。アレルギー反応は、原因食物を口から体内に取り込む以外にも、食品が皮膚に付着したり、吸い込んだりして起こることもあります。原因食品は数多くあり、日本では、鶏卵、牛乳、小麦、そば、かに、えび、落花生が多く、これら7食品は、食物アレルギーを発症する方が多い、アレルギー発症時に重篤な症状を呈する方が多いことから、食品にこれらの表示義務があります。
食物アレルギーの多くは、原因食品を摂取して数分~数時間以内に症状が現れ、皮膚症状が多く、蕁麻疹や発疹、紅斑などが現れます。皮膚以外では消化管や呼吸器、眼、鼻などに症状が出現し、下痢や嘔吐、腹痛、咳、のどのいがいがした感じ、眼の痒み、鼻水などの症状がみられます。これら症状が一度に全身性に現れるのをアナフィラキシーといい、さらに重篤な症状が出現すると、血圧低下、意識障害、呼吸困難を生じ、これをアナフィラキシーショックと呼んでいます。
食物アレルギーの診断は、問診による原因食物の推察が重要で、疑われる食物の血液検査や、皮膚テストが行われます。確実な診断には、原因食物を実際に食べてみる食物経口負荷検査がありますが、疑い食物の摂取で、アナフィラキシーを誘発することもあり、診療体制が整った環境で行うことが必要です。
食物アレルギーの治療は、原因食品を除去して発症を防ぐことが基本になり、原因食物のどのような調理過程で症状が出るか、どの程度摂取すると症状が出るかなどは個々人によって異なります。そのため症状の出現する状況をしっかりと把握し、その摂取限界を超えないように対応することが大切です。しかし間違って原因食物を食べてしまうことがあり、アナフィラキシーショックを起こすこともあります。誤食によるアナフィラキシーは、医療機関外で起こす可能性が高く、アナフィラキシーは急速進行性のため、患者はアナフィラキシー補助治療薬として、アドレナリン自己注射薬を携帯することがあります。最近では経口免疫療法という新しい治療方法もあります。この治療は専門の医師の管理のもとで原因食品を段階的に増量しながら摂取し、最終的に治ることを目標とした取り組みです。しかし原因食品の量を増やしている間にアレルギー症状が出たり、アナフィラキシーなどの重篤な症状を誘発したりする可能性もあります。また、一定の量まで食べられるようになっても体調が悪いときにはアレルギー症状が出てしまうこともあります。したがって自己判断で安易に行うのは危険であり、専門の医師の指導のもとで慎重に行うことが重要です。
アレルギー病には、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・結膜炎、花粉症、じんましん、食物アレルギー等があります。何がアレルゲンになるか、どういう反応がおこるかは、個々に異なり、年齢によっても違い、環境によっても左右されます。また、どんな反応がおこるかによっても病気が違ってきます。乳児期は、皮膚・腸管の防御機能が弱い時期であり、皮膚や腸管からアレルゲンの侵入が起こり、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーが起きやすい状況です。
子どものアレルギー病は増えています。気管支喘息の有症率は2004年の調査で児童生徒では5・7%と報告され20年前の2~3倍で、2013年では5・8%と増えています。食物アレルギーは、2004年は2・6%が、2013年は4・5%とほぼ倍になっており、さらにショックとなる食物アナフィラキシーは2004年では0・14%が2013年では0・48%と、4倍近くに増加しています。食物アレルギーを持つ子ども達は増加していますが、一方では、3歳くらいになると腸の中で食物アレルゲンを処理して体が受け入れるようになる子どもたちが多くなっています。子どもでは成長とともに食物アレルギーは減少し、その後は年齢と共に、気管支喘息や鼻炎、花粉症が中心になってきます。
食物アレルギーとは、特定の食品によって起きるアレルギー反応です。アレルギー反応は、原因食物を口から体内に取り込む以外にも、食品が皮膚に付着したり、吸い込んだりして起こることもあります。原因食品は数多くあり、日本では、鶏卵、牛乳、小麦、そば、かに、えび、落花生が多く、これら7食品は、食物アレルギーを発症する方が多い、アレルギー発症時に重篤な症状を呈する方が多いことから、食品にこれらの表示義務があります。
食物アレルギーの多くは、原因食品を摂取して数分~数時間以内に症状が現れ、皮膚症状が多く、蕁麻疹や発疹、紅斑などが現れます。皮膚以外では消化管や呼吸器、眼、鼻などに症状が出現し、下痢や嘔吐、腹痛、咳、のどのいがいがした感じ、眼の痒み、鼻水などの症状がみられます。これら症状が一度に全身性に現れるのをアナフィラキシーといい、さらに重篤な症状が出現すると、血圧低下、意識障害、呼吸困難を生じ、これをアナフィラキシーショックと呼んでいます。
食物アレルギーの診断は、問診による原因食物の推察が重要で、疑われる食物の血液検査や、皮膚テストが行われます。確実な診断には、原因食物を実際に食べてみる食物経口負荷検査がありますが、疑い食物の摂取で、アナフィラキシーを誘発することもあり、診療体制が整った環境で行うことが必要です。
食物アレルギーの治療は、原因食品を除去して発症を防ぐことが基本になり、原因食物のどのような調理過程で症状が出るか、どの程度摂取すると症状が出るかなどは個々人によって異なります。そのため症状の出現する状況をしっかりと把握し、その摂取限界を超えないように対応することが大切です。しかし間違って原因食物を食べてしまうことがあり、アナフィラキシーショックを起こすこともあります。誤食によるアナフィラキシーは、医療機関外で起こす可能性が高く、アナフィラキシーは急速進行性のため、患者はアナフィラキシー補助治療薬として、アドレナリン自己注射薬を携帯することがあります。最近では経口免疫療法という新しい治療方法もあります。この治療は専門の医師の管理のもとで原因食品を段階的に増量しながら摂取し、最終的に治ることを目標とした取り組みです。しかし原因食品の量を増やしている間にアレルギー症状が出たり、アナフィラキシーなどの重篤な症状を誘発したりする可能性もあります。また、一定の量まで食べられるようになっても体調が悪いときにはアレルギー症状が出てしまうこともあります。したがって自己判断で安易に行うのは危険であり、専門の医師の指導のもとで慎重に行うことが重要です。
10月13日午後2時から4時に中央公民館で開催される「地域の医療を考える集い」では「アレルギーにまつわる病気」というテーマで、3名の医師がそれぞれの立場で講演します。ぜひ、会場へ足をお運びください。
(大館市 平成30年10月5日掲載)