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医学情報はしっかり確認を

奈良医院 院長
奈良正人


  近年週刊誌に医薬品、検査、手術等に関する記事が目立つようになってきました。ドクターの中でも特殊な考え方や意見を出す人がいて、その少数意見があたかも現在の医学常識の最先端のように扱っている記事も見受けられます。中には「がんと戦うな」「検査は受けるな」「医者の言いなりに薬を服用するな」など鵜呑みにすると深刻な結果が起こるような不安な内容のものもあります。

 お薬については副作用が報告されており、主治医は投与する薬剤に起こりうる副作用情報を理解し処方しています。例えばコレステロールを下げるクレストール、リピトール、リバロ等では横紋筋融解症という筋肉ダメージをおこす例が報告されています。その為、投与症例では定期的にコレステロールを検査する時、同時に筋肉ダメージの有無をチェックし、安全を確かめて継続投与をしています。

 糖尿病で使われている内服薬では、組み合わせによって低血糖を起こし易い物があります。定期的に血糖やHbA1Cをチェックし、そのデーターを基に食事、運動療法を指導しながら、内服薬の処方を決めています。
 診察も受けず定期検査もいやがり、薬だけ出してくれれば良いとする患者さんがおりますが、お薬が内容的にも量的にも適切で、副作用もなく安全に用いられているかと考えると不安です。同じ薬剤でも効き目は個人差があり、副作用の出方も個人差があります。お薬の添付書類には副作用の発現頻度が記載されており、処方する医師や処方を受け調剤する薬剤師さんは副作用を気にしながら仕事をしています。

 しかし、マスコミに出る薬剤の副作用の記事を見ると、10人に1人の副作用も1万人に1人の副作用頻度も関係なく、この薬にはこんな副作用があるから、医師から処方されても服用しない方が良いなどと記事にする週刊誌は非常識で無責任で危険なことだと思います。

 病気の早期発見、早期治療に役立つように受けている健診や人間ドックも、受けっぱなしでなく、その結果を生かさないと受けた意味が無いと思います。要精査項目があったら精査を受けて、早期治療に役立てるようにしましょう。

 近年一般的手術以外に内視鏡手術や腹腔鏡手術も盛んに行われるようになってきました。それらの手術方法の危険性を取り上げている記事内容もありますが、どんな手術でも危険は伴うものです。より安全にできるように、医師達は先輩から指導を受け、研鑽を積み一人前になっていくものです。
病気の種類によって何処の病院にどんな専門の医師がいるのか解りながら紹介するのもかかりつけ医の仕事と思っております。どんなことでもかかりつけ医に相談し、週刊誌レベルではないしっかりした医学情報を活用しましょう。
(北秋田市 7月15日掲載)
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