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2023年11月

「みんなのサードプレイスに」 大館で初 民間の学童保育 「春光堂」

2023-11-20
民間の学童保育をオープンさせた武田さん(大館市新町)
 大館市で初めて、民間の学童保育がオープンした。運営するのは小中高校の教員免許を持つ武田知愛さん(38)。同市新町でかつて祖父母が営んでいた文具店を改装し、「春光堂」の名前を引き継いで開業した。原則小学生を対象に受け入れるが、「年代を問わずさまざまな人にとってのサードプレイスになれば」と思い描く。
 武田さんは大学で教員免許を取得し、30歳を迎えるのを機に地元・大館市に帰郷。祖母の介護をしながら会社員、大学職員として働いた。仕事で東京と北秋田市を行き来する夫を支えるため、昨年10月に退職。一転して夫が秋田県を拠点にすることになり、祖母が亡くなる時期も重なった。家族のためでなく、自分がやりたいことを考えた。
 新町の実家に併設し、祖父母が文具店「春光堂」、母親が学習塾を経営しており、多くの大人に囲まれて育った。学習塾を手伝う機会も多く、「子どもに教えることが常に身近にあった」環境でもあった。
 周囲の知人から子育てと仕事の両立に悩む声を聞き、母親たちが仕事を制限をしていることに、もやもやした思いがあった。「自分にしかできないことで、一人でも多くの人を幸せにするには」と悩んだ末に、「困っている母親がいるのは事実。『あったらいいな』を形に」との思いが募った。目標が明確になった。
 1990年代に閉業した文具店をリノベーション(大規模改修)。壁を塗装し直し、家具などをそろえた。9月から約2カ月間の工事を経て、今月11日に学童保育業としてオープンさせた。
 約63平方㍍のスペースにおもちゃや絵本を並べ、菓子や飲み物を用意。専門の小学英語、英国の保育園でのボランティア経験も生かして学習支援をしたい考え。母親の学習塾とも連携する。将来的には食事提供も検討する。
 開所時間は午後3~9時。水曜、日曜定休。会費は年内半額キャンペーンで、週1回利用が月額3960円から。登録無料。料金は今後のニーズを見ながら調整していく。
 地元住民からは「近所が明るくなっていい」「がんばれ」との声が届く。開業して間もないが、既に見学や問い合わせが複数あるという。
 自宅や学校だけではない「ホッと一息つけるような居場所に」。対象は原則小学生だが、「いずれはさまざまな人にとってのサードプレイスになれば」と考える。祖父母の店の名前を復活させ、「これがやりたかったこと。母親たちにとって選択肢の一つになれたら」と話している。
 学童保育は昼間家庭に保護者がいない小学生を対象とし、放課後に遊びや生活の場を提供して、健全な育成を図る施設。自治体による公設施設は設置や運営にさまざまな条件があるのに対し、民設の場合は認可が必要なく、多様なニーズに応えられるのが特徴。
 大館市生涯学習課によると、市内には市が設置した放課後児童クラブが17校に19施設、放課後子ども教室が6校に6施設ある。民間による開設は初めて。
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