千葉さんファミリーのもとを旅立った三兄妹の一頭、茶々丸。その子が新しく家族として迎えられた家を訪ねた私は、大館の町でシニアの犬や猫たちの命を優しく支える、もうひとつの物語に出会うことになった。
出迎えてくれたのは、飼い主の森川さん。そしてその足元には、やんちゃ盛りの茶々丸と並んで、どっしりと横たわる一頭の大きな秋田犬がいた。
名前は、はちくん。今年で十三歳になる、シニアの男の子だ。
「はっちゃん、お客さんだよ」
森川さんの声に、はちくんがゆっくりと顔を上げる。秋田犬といえば、大きくて凜としていて、どこか近寄りがたい印象を持つ人もいるかもしれない。けれど、はちくんを目の前にすると、その穏やかさに驚かされる。おおらかで、すべてを包み込むような空気感。こちらの心まで静かに落ち着かせてくれるようなその優しい瞳を見た瞬間、近所の人々が親しみを込めて、はちくんを「はちがみ様」と呼ぶ理由が分かった気がした。
もともとは保護犬で、森川さんのもとに来たばかりの頃は目も合わせない子だったというはちくん。それが今では、森川さんの人生を大きく動かす存在になっていた。