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昭和初期の「お土産」 31日まで企画展 鹿角歴史民俗資料館 「大湯木彫り人形」展示

2021-01-10
企画展「大湯木彫り人形」(歴史民俗資料館)
 昭和初期、温泉地として知られる旧大湯町(鹿角市)で、観光客のお土産として、「大湯木彫り人形」が売られていた。地元の若者たちが制作し、服装や表情から当時の暮らしぶりが伝わってくる。太平洋戦争前に途絶え、期間は10年ほどだったが、制作された背景を見ると、時代や地域性を反映した人形だったことが浮き上がってくる。人形を集めた企画展が、同市歴史民俗資料館(藤井安正館長)で開かれている。31日まで。
 人形は、高さが12㌢前後で大人の手のひらに載るサイズ。「農婦」「そり遊び」「旅人」「カッパ」「秋田犬」「牛追い」「薪運び」などがテーマ。素朴で、服装や色の表現は、当時の暮らしをストレートに伝える。
 制作されたのは1928(昭和3)年から。地元の若者十数人が、木彫りで院展に入選したことのある木村五郎を講師に招いて、技術を習得した。全国的に広がりを見せていた「農民美術運動」の一環とされ、「生活の中から自然に生まれた『郷土玩具』とは少し異なる」と藤井館長は話す。
 お土産の需要もあった。十和田湖の特別名勝・天然記念物指定や、周辺で進む鉄道整備により、大湯温泉、湯瀬温泉の観光客が増加した。若者たちの取り組みは、今でいう地域活性化の商品作りと捉えられる。講習会の受講生は全国規模の品評会に出展し、一等賞を獲得するなど高い評価を得た。人形は太平洋戦争が始まる直前まで作られたという。
 鹿角市教委には、市民から寄贈された人形4点が所蔵されている。「私たちの記憶から忘れ去られようとしているものがたくさんある。大湯木彫り人形の歴史とその魅力に触れたい」(藤井館長)と企画展を計画。所有する市民や所蔵する小坂町教委の協力を得て実現した。32点の人形と解説パネルが展示されている。
 大湯で2回開かれた講習会には、秋田市出身で著名な版画家、勝平得之も参加した。ここで習った技術を生かし、県内の風俗を題材にした「秋田風俗人形」の制作を始める。
 企画展の準備中に、藤井館長は市教委が所蔵する4点のうち1点に「勝平」というサインがあるのを見つけた。専門家に調べてもらったところ、サインそのものは得之の自筆ではないらしいが、この人形だけは、技法が他と違っている。得之が制作した可能性が高いという。サインがある「マント」という人形も展示されている。
 会場では、当時湯瀬温泉で販売された人形も展示されている。長野県内で制作されたもので、遠くで作られた人形がどうして湯瀬温泉で販売されたのか興味をそそる。
 17日には午前11時と午後2時から展示説明会が同館で開かれる。問い合わせは同館(電話0186・22・7288)。

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