本文へ移動

「感染予防には、ぜひサージカルマスク(不織布マスク)を着用しましょう」

児玉内科クリニック

 児玉 達彦


 新型コロナウィルス感染症の流行も第5波に及び、感染の終息が見えない中、まだまだ感染防止の対策を緩められない生活が続きますことに、もううんざりしている市民の方も少なくないと思います。
 新型コロナウィルスワクチンの接種が今も続いていますが、ワクチンの新型コロナウィルス感染症の流行阻止の効果も、3密を避ける・ソーシャルディスタンスを保つなどの感染防止の対策を行ったうえで発揮されるものでありまして、新型コロナウィルスワクチンの接種を完了したからと言って、マスクを外して飲酒して宴会などをしたらたちまち新型コロナウィルス感染症の餌食になってしまいます。新型コロナウィルス感染症が流行し始めた折、感染予防対策として、「3密を避ける」・「ソーシャルディスタンスを保つ」ことと並んで「マスクを着用する」ことが挙げられていました。
 今回の新型コロナウィルス感染症も含めた流行性の気道感染症(鼻・のど・気管・肺の感染症)に対しマスクを着用することが始まったのは、20世紀初頭のインフルエンザの世界的流行(パンデミック)・いわゆる「スペイン風邪」の時からだそうですが、「マスクを着用する」ことの目的は、①感染症の病原体(ウィルスや細菌など)に感染している方が、病原体を含む鼻汁・咳などのしぶき(飛沫)を体外に拡散させないことと、②感染していない方の鼻や口を、病原体を含む「飛沫」から守ることの二つであります。
 小生にはマスクについて苦い思い出がありまして、20数年前の勤務医時代に、インフルエンザのワクチンの接種後に、うっかりインフルエンザの患者さんをマスクを着用しないで診察したところ、たちまちインフルエンザを発病してしまうという失敗をやらかしました。
 それ以降は診療中は必ずマスクを着用しておりますし、店舗などの屋内に入る時も(感染が怖くて)マスクを着用するようにしています。小生の場合は職業柄マスクの着用は不可欠であるので、マスク漬けの生活に慣れてしまって半ば気にしていない状態ですが、医療などに係らない一般の方々にとっては、本来マスクの着用は、インフルエンザの流行期などをのぞけば非日常的なことでしょう。
 しかし2020年に新型コロナウィルス感染症の世界的流行が始まった折は、普段マスクを着用しない一般の方々が日常的にマスクを着用せざるを得なくなり、本来感染予防に最も一般的に用いられる「サージカルマスク(不織布マスク)」がたちまち払底したこともあって、時の政府がいわゆる「アベノマスク」と称された布マスクを配布するなど、布マスクも含めて一般の生活の中にマスク着用を定着させることが社会ぐるみで行われました。当時は布マスクでもある程度感染対策に有効とされていましたし、一般の方にマスク着用を根付かせることから始めなくては世間一般に感染防止対策が進まなかったとは考えられるので、「アベノマスク」なども全く誤りとは言えなかったと思います。
 現在は「サージカルマスク(不織布マスク)」が十分店先にも出回るようになり、「サージカルマスク(不織布マスク)」を着用している方の姿は日常珍しくなくなりましたが、現在も布マスク・ポリウレタンマスクを着用している方も少なくありません。しかし、香港大学の研究結果では、新型コロナウィルスに感染した方が「サージカルマスク」を着用している場合は、マスクを通り抜けて呼気の飛沫(直径5μm以下の大きさ)に新型コロナウィルスが漏れてくることはほとんどなく、「サージカルマスク」を適切に着用すれば、他人に新型コロナウィルスを感染させる可能性は非常に低くなることが判明しており、2021年2月3日に東洋経済ONLINEで取り上げられた国立病院機構仙台医療センターの西村秀一先生の研究によれば、飛沫の粒子(西村秀一先生の研究では0・3~0・5μmの大きさのもの)は、サージカルマスクは90%以上を除去できますが、「布マスク」では20%未満、「ポリウレタンウレタンマスク」ではほとんど除去できないという結果が出ております。
 2021年5月15日に出版された「カラーイラストで学ぶ新型コロナウイルスの感染対策」(日本赤十字豊田看護大学の下間正隆先生著)には「布マスクは息がしやすいので大声で話すと小さな飛沫を通してしまうかもしれませんね」との記述はありますが、「布マスクやポリウレタンマスクは有効ではありません」とは書いておりませんし、「布マスク」の場合、バンダナでのマスクならば半分に折ってさらに3つに折る、すなわち六重折りしないと一定の効果が望めないとされています。
 医療の側からは、これらの事実から一般の方々に対して「(新型コロナウィルス)感染予防には、ぜひサージカルマスク(不織布マスク)を着用しましょう・布マスクやポリウレタンマスクの着用はお勧めできません」と申し上げざるを得ませんし、現在新型コロナウィルス感染流行下の地域の医療機関などでは、布マスクやポリウレタンマスクを着用して来院された患者さんには、あえてサージカルマスクをその場で購入していただいてから受付しているところも既にあります。
 新型コロナウィルス感染症との戦いはまだまだ続くことが予想される現在、この地域で生活している身近な皆様方に、「感染予防には、ぜひサージカルマスク(不織布マスク)を着用しましょう」と、ここに重ねて申し上げる次第でございます。特に医療機関などを受診の際はぜひサージカルマスク(不織布マスク)を着用してご来院ください。
*しかしこのように書くと、布マスクやポリウレタンマスクの製造メーカーから、営業妨害と言われそうで頭が痛いのですが。あるいはサージカルマスクの上にポリウレタンマスクなどを着用して、サージカルマスクの汚れの防止に使う、というような使い方もあるかもしれません。
 (北秋田市 令和3年9月11日掲載)
*参考文献 
 日経メディカル2021/09/01「コロナ感染予防にマスクはサージカルの徹底を」谷口恭(太融寺町谷口医院)
 「カラーイラストで学ぶ新型コロナウイルスの感染対策」日本赤十字豊田看護大学 下間正隆 著 金芳堂


印刷に関するご案内
ご案内
広告に関するお問い合わせ
お問い合わせ
購読のお申し込み
購読お申し込み
掲載写真のご購入
ご購入お申し込み
後援のお申し込み
資料請求
記事・写真等2次使用について
資料請求
株式会社 北鹿新聞社

〒017-0895
秋田県大館市字長倉79
TEL.0186-49-1255(総務課)
FAX.0186-43-3065(総務課)
 
*日刊新聞発行および一般印刷*
TOPへ戻る