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創刊100周年企画 古今「秋田犬」

第2部 アメリカ編

捨てられる秋田犬 人気の一方飼育難しく ネットやSNSで飼い主探す ビッグ・イースト・アキタ・レスキュー 
2018-11-06
グラスアートを手掛けるリンチさん
 秋田犬人気の背景には「陰」も存在する。アメリカでは2009年の「HACHI 約束の犬」の公開以降、秋田犬を飼育する人が爆発的に増えた。映画で見た秋田犬の印象が目に焼き付き、「やさしそう」「飼いやすそう」と感じて簡単に手を出した。
 しかし、現実は違った。予想以上の飼育の難しさに加え、「アメリカンアキタ」の存在が大きかった。アメリカンアキタは第二次大戦後、アメリカ軍が日本から連れて帰った秋田犬と、シェパードなどの洋犬を交配した犬種。純血の秋田犬と思い込んで飼育を始めた人たちは、アメリカンアキタと「HACHI」との違いに戸惑い、多くが手放した。秋田犬も利益のために必要以上に繁殖された。街中の至る所に犬が捨てられ、殺処分された。
 現状を食い止めようと、11年に一つのレスキュー団体が誕生した。「ビッグ・イースト・アキタ・レスキュー」(B・E・A・R)だ。代表のジョアン・ダイモンさん(58)と、夫のマット・ダイモン(51)さんは、秋田犬やアメリカンアキタを保護する活動を始めた。
 インターネットやSNS(会員制交流サイト)を利用し、捨てられた犬を飼育してくれる人を探す。希望者とは面接し、飼い主にふさわしいかを判断。しつけのアドバイスなども行う。再び捨てられても居場所が分かるよう、犬にマイクロチップを埋め込む。現在、アメリカ国内だけで年間120匹程度が保護の対象となっている。「毎日前に進んで、なるべく捨てられる犬の数を減らしたい」とジョアンさん。7年間の活動で、会員は450人を超えた。
 秋田犬とアメリカンアキタを10匹以上飼育する、会員のジャック・グリフンさん(36)、ジュリアン・グリフンさん(33)夫妻は、アメリカンアキタの性格を「自由が好き」「自信がある」「正直」などと語り、秋田犬と同じように接しているという。「いとこのよう」と互いを認め、差別することはない。マットさんは秋田犬の行動について「自分の体に足を乗せてくるだけで、深い、特別な意味がある」と話す。彼らは、人間と犬が尊敬し合うことを大切にしている。
 もう一人、特別な活動で団体を支えるのがダイアン・リンチさん(56)。ボランティアで秋田犬のグラスアートを制作し、収益をレスキューの資金に充てている。子どもの頃から絵を描くのが好きだったというリンチさんは、3年前から作品を手掛けてきた。直径10~15㌢の円形のガラスに繊細なタッチで依頼主が飼っている秋田犬を描く。仕事の傍ら制作に取り組み、これまで20枚ほどを仕上げた。1枚5ドルで販売し、60万円以上を団体に寄付した。「犬の心を見せられるように」と、それぞれの表情を丁寧に観察。「秋田犬のために、ずっとやり続けたい」と作品に愛情を込める。
 B・E・A・Rの関係者への取材は、ニュージャージー州のアベイ・グレン・ペットメモリアルパークと、ロードアイランド州のウーンソケット市で行った。全員が愛犬と一緒だった。静かに頭をなでながら秋田犬について語る姿には、喜びと悲しみが入り交じっていた。真剣に、未来と向き合っていた。いつの日か、一匹一匹に光が降り注ぐことを願って。
B・E・A・Rのジョアンさん㊧とマットさん
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