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創刊100周年企画 古今「秋田犬」

北鹿新聞 創刊100周年企画 古今「秋田犬」

 空前の秋田犬ブームが訪れ、世界中で人気が高まっている。かつて「大館犬」と呼ばれ、大正から昭和にかけて保存運動が起こり、天然記念物に指定されたことで大館市が発祥の地となった。そんな秋田犬のルーツをたどり、犬種保存の歩みを振り返るとともに、国内外の秋田犬事情を探りながら今後を展望する。

連載を終えて

秋田犬と人 理想の関係を模索 真の「秋田犬の里」目指し

 戌(いぬ)年の今年、大館市は「秋田犬」一色に染まった。〝ザギトワ効果〟も追い風となり、秋田犬を目当てに市を訪れる観光客は増加している。一方で、秋田犬とふれあうことのできる施設では、犬の「ストレス」の問題も持ち上がる。「秋田犬と人との理想的な関係」。今回の企画「古今 秋田犬」を取材する上でのテーマだった。
 「秋田犬」といえば、多くの人が「忠犬ハチ公」を思い浮かべるだろう。渋谷駅で亡き主人を待ち続けた物語は、時代を超えて現代でも世界中の人々に感動を与えている。大館市にとっては、渋谷区との交流が生まれるきっかけをつくった立役者であり、秋田犬の中では「ヒーロー」的な存在だ。ただ、秋田犬の歩んできたこれまでの歴史を振り返ったとき、ハチ公の物語は一つのエピソードにすぎない、という見方もできる。
 闘犬熱に伴って土佐犬との交配が進み絶滅の危機にあった中、種の保存に心血を注いだ人たちの努力で国の天然記念物に指定されたこと、戦禍の中では軍用犬として利用されたり、毛皮や食用としても狙われたこと、戦後は米軍の将兵によって米国内に持ち帰られ、シェパードなどと交配した独自の犬種「アメリカン・アキタ」が広がったことなど、それぞれの時代ごとに苦難を乗り越えてきた。
 今年の盛り上がりは、こうした時代にも秋田犬の血統を守り続けてくれた人たちの努力の上に成り立っているということに、取材を通して改めて思い至った。アメリカでも人々に愛されている姿を見たとき、秋田犬はまさに、先人たちが残してくれた大館市、秋田県、さらにはわが国にとっての「宝」であることも実感した。
 なればこそ、宝である秋田犬をどう活用していくのかは、われわれに課せられた使命なのではなかろうか。せっかく盛り上がった「ブーム」を、ブームだけで終わらせてはいけない。秋田犬の発祥の地として、秋田犬との暮らしを「文化」として後世に伝えていく必要があるのだ。
 大館市の福原淳嗣市長は11月30日の定例記者会見で、今年の「秋田犬ブーム」について、ふれあい施設での犬のストレス問題などに触れながら「本物の魅力ある存在とするために、『秋田犬と暮らす』ということに哲学を持たなければならないことを教えられた」と述べている。
 来年春には大館市に「秋田犬の里」がオープンする。ハチ公が飼い主を待ち続けた2代目渋谷駅をモデルとした時計台と大きな屋根が特徴で、秋田犬とふれあえるほか、展示コーナーや観光案内所、物産館などを配置。市長は「秋田犬と私たち、犬と人類がつくり上げてきた、また、これからつくっていく物語を感じてもらえる施設にしたい。ブームを本格的に根付かせる『プラットホーム』にする」との考えも明らかにした。
 近年、街を散歩する秋田犬の姿が目に見えて増加。それに加えて、秋田犬を目当てとした国内外からの観光客も増えてきた。大館が文字通りの「秋田犬の里」となるために何ができるのか、市民の一人としてこれからも考えていきたい。
 (シリーズ終わり)
 「古今 秋田犬」取材班▽企画・統括=野口浩克▽第1部=佐藤健一、丸岡浩平▽第2部=高橋守任▽第3部=久保田真美、佐々木尚輝、山内貴人
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