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アレルギー性鼻炎、その原因と最新の治療

まるや耳鼻科クリニック
院長 丸屋信一郎


 今年も10月13日午後2時から大館市立中央公民館で「地域の医療を考える集い」が開催されます。今回のテーマは「アレルギーにまつわる病気」~喘息・食物アレルギー・花粉症~です。講師と演題は常盤医院から「成人喘息の最近の考え方と治療最前線」、大館市立総合病院から「食物アレルギーのあれこれ」わたしが「アレルギー性鼻炎、その原因と最新の治療」についてです。アレルギー疾患は老若男女問わず幅広い年齢層にわたり罹患し、症状も軽度のものからアナフィラキシーショックなど命にかかわるものまで多岐にわたります。有病率はスギ花粉症で約25%(秋田県は14%)、アレルギー性鼻炎全体では約40%(秋田県は30%)と大変身近な疾患です。治療法も近年少しずつ進歩しておりますので、その流れも含めお話ししたいと準備しております。
 発症のメカニズムですが、花粉やダニなどの抗原が鼻の粘膜に付着するとIgEという抗体が作られ、肥満細胞などに付着することから発症します。IgEと付着した肥満細胞は破裂してヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、知覚神経、分泌腺、毛細血管を刺激してくしゃみ、鼻水、鼻づまりを引き起こします。鼻の中をみると水様の鼻汁が充満し、鼻の粘膜が白くむくみがみられますし、ポリープ(鼻茸)がみられることもあります。アレルギーで最も重要な検査は少量の採血でダニやスギなどそれぞれの抗原に反応するIgE抗体の量を調べるものです。ここで困ることが時々おこります。アレルギー性鼻炎のように鼻過敏症状がひどく、鼻をのぞくと鼻の粘膜が白くむくんでいるにもかかわらず、IgE抗体を何種類も調べても陽性を示さない原因がわからない患者さんが時々いらっしゃることです。患者さんにはアレルギー性鼻炎ですから何のアレルギーか調べてみましょうねと説明して、患者さんは高額な検査料(3割保険適応で約5000円)を支払って、結果を聞いたらアレルギー性鼻炎ではありません、よくわかりませんといわれ困惑されます。こちらも大変バツが悪いといった仕儀となるわけです。こういう鼻炎を血管運動性鼻炎といって、たばこの煙などの物理的な刺激や温度変化などによって自律神経に変調を来して発症するといわれていますがよくわかっておりません。かくいう私もアレルギーの抗体はどれも陰性なのですが、起床時くしゃみが止まらず、アレルギー性鼻炎のお薬である抗ヒスタミン剤が必携です。
 あと困ってしまう場面がもう一つあります。「これは治らないんですか?ずっとお薬を飲み続けなければいけないんですか?」とご質問を受ける時です。残念ながら一般的な抗ヒスタミン剤はヒスタミンの作用をブロックして症状を抑えるお薬で、ステロイド点鼻薬も鼻粘膜の炎症を一時的に抑え、アレルギーの根本を治すものではありません。現在は眠気を引き起こさない薬剤も多く開発され、長期服用でも大きな全身的な副作用はきわめて稀です。安全性は確立していますが、一般的な薬物治療はあくまで症状を抑える対症療法になるということ、アレルギー性鼻炎は軽症、高齢者を除くと自然に治ることが少ない疾患で、長いおつきあいになることをご理解いただければと思います。従って花粉やダニなどの抗原を除去、回避する工夫も重要です。スギ花粉症については花粉飛散2週間前からの治療開始が推奨されており、早めに治療を開始したほうがより快適にシーズンを過ごされ患者様が多いことは私自身もよく実感しております。
 それでは根本的にアレルギー反応を抑えることは可能なのでしょうか?答えは100%とはいえませんがyesです。舌下免疫療法が近年注目されています。これは従来の対症療法ではなく、アレルギーの原因となる抗原(アレルゲン)を少量ずつ投与することで体をアレルゲンに慣らす体質改善をねらった治療です。現在、スギ花粉とダニに対するアレルギーで治療可能です。免疫療法は以前からありましたが、皮下注射によるもので定期的に根気よく受診する必要があるなど煩雑で、一般化せず一部のマニアックな耳鼻科医のみが行っていました。現在はアレルゲンの濃度が標準化され、すぐに口内で溶解する錠剤が開発され、自宅での投与が可能になりました。難点は即効性はないため、3年から5年継続する必要があること、きわめて稀ですがアナフィラキシーショックの可能性もあるため、治療について十分に理解していただくことが必要です。スギ花粉症に対しては8割の患者さんで有効といわれています。ダニに対するアレルギーを持っている患者さんでは鼻症状の緩和のほかに気管支喘息、アトピー性皮膚炎への効果が期待されています。
 アレルギー性鼻炎は生命に関わる病気ではありませんが、重症化するとQOLを著しく損なう病気です。快適に過ごすために受診のポイントなどお話してみたいと思います。お気軽に会場にお越しくださいませ。
(大館市 平成30年10月12日掲載)

 

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