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糖尿病 その最新の治療

大館市立総合病院
内分泌・代謝・神経内科 池島 進


今年も25日午後2時から大館市立中央公民館で「地域の医療を考える集い」が開催されます。テーマは「糖尿病の治療~怖い合併症とその予防~」となりました。講師と演題は、大館市立総合病院から「糖尿病その最新の治療」、小林眼科医院から「糖尿病による眼の合併症」、森田泌尿器科から「糖尿病と慢性腎不全」、工藤整形外科医院から「運動療法~何をすればいいの?」についてです。厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」の結果、「糖尿病が強く疑われる者」は約1000万人と推計され、平成9年度以降増加し続けています(図1)。一方、「糖尿病が強く疑われる者」のうち、現在治療を受けている者の割合は男性78・8%、女性74・1%と、5年前に比べてそれぞれ12・8ポイント、8・8ポイント上昇していますが、比較的若い世代でまだまだ未治療や治療中断が多いのが現状です(図2)。しかし、糖尿病患者はなぜこのように増え続けているのでしょうか?そして、なぜ治療をしなければならないのでしょうか?
 一般的に血糖が上昇しても、多くの場合は無症状で、血糖上昇に気づかない事が多いのが糖尿病の特徴です。よく糖尿病になると、喉が渇く、水分をいっぱいとるので尿の量が増えると聞いた事があるかもしれません。しかし、そのような自覚症状が出現した場合は、すでにかなりの高血糖になっている可能性があります。
 病気というのは、本人にとって困ったことがある(痛いとか痒いとか気持ち悪いとか)ので、人がある病名をつけて治療しましょうというものです。では、なぜ自覚症状がなく困った事がないのに、糖尿病という診断をしてわざわざ治療をする必要があるのでしょうか?それは、自覚症状がなくても高血糖を放置していると、気付かないうちに水面下で合併症というものが進行し、ある日突然、本人にとってつらい症状が出てくることがあるからです。その合併症には、糖尿病の3大合併症と言われる糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害、動脈硬化からくる心筋梗塞、脳梗塞、足の血管がつまる末梢動脈循環不全などがあり、さらには感染症、歯周病、がん、認知症、骨粗しょう症、と様々な病気との関連も明らかになってきています。
 では、このような糖尿病にならないためにはどうしたらよいのでしょうか?あるいはなってしまった場合はどのように治療していけばよいのでしょうか?糖尿病治療の基本は、食事療法、運動療法、薬物療法の3本柱となります。その中でも、生活習慣病と言われるように、食事と運動の生活習慣を見直していくことが、治療の一番の近道となります。でも、長年暮らしてきた習慣を変えていくのは難しいですよね。そのあたりを実践していくコツについて、今回の講義で話ができればと思っています。そして、薬物療法は、食事療法と運動療法のあくまでもお手伝いであることは忘れないでください。でも、この薬物療法に関しては、近年様々な薬が開発され、急激に発展してきています。私達医師も、どの薬を使うべきかとても迷う程です。治療の目標も、ただ単に血糖を下げるだけでなく、低血糖や肥満を防ぎながら、血糖を下げた先にある合併症を防ぐ質の良い血糖コントロールが求められる時代となっています。そのあたりの最先端の情報も盛り込んで話をしたいと思います。糖尿病は放置すると怖い病気です。でも、糖尿病を予防あるいは治療することが、自分の生活習慣を見直すきっかけとなり、その結果、健康寿命を延ばし楽しく暮らしている方々はたくさんいます。ピンチはチャンス、是非この機会に足を運んで、話を聞いて頂ければ幸いです。
(大館市 平成29年11月10日掲載)

 

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