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北鹿川柳

川柳でユーモアのある街づくり
「川柳わらべの会」の協力を得て、平成7年にスタートした北鹿新聞社主催事業。管内5カ所に投句箱を設置し、広く読者の作品を募集しており、寄せられた作品の一部を毎月15日付の紙面で紹介しています。その中で月間賞に輝いた秀句を掲載します。

2022年7月

親心仇(あだ)で返した反抗期    三浦カツヱ
【評】親の心はあの時わからなかった。あの時の親の顔は、悲しみで曇っていたのだろうな。「仇で返した」が軽快。
空(から)の母校音無き窓辺仰ぎ見る 本間 久代
【評】本来なら、窓辺は子らでひしめいていたはずなのに。音なき窓辺がせつない。それにしても廃校が止まらない。少子化が大問題。
美しくなると信じて試供品      中村 敦子
【評】毎日の如く女性をターゲットに美への欲求を煽る画面が往来してます。試供品が効を招く事を願ってます。でもどこかでピリオドを打たないとね。
パラソルはどんな美女かと気にかかる 阿部 右門
【評】後か前かチラチラパラソルが気になりますね。のぞきこむことも出来ない。美しい人だと想う事で脳細胞が活性化しますよ。「気にかかる」フレーズが光ります。
眼鏡拭く今日の歩みに感謝して    渡邊 藍子
【評】充実した一日が伝わる。前向きで必死な姿も浮かぶ。明日もまた頑張ろうネ。
生きる道苦しい時が登り坂      庄司ふさお
【評】ストレートな表現が人を引きつける。素直な気持ちが伝わって来る。また、簡素にまとめられている。

2022年6月

連休に地面が見えぬ程の人      千葉 恭子
【評】久々のコロナ解禁、大勢の人でごった返す街、うれしさいっぱいです。「地面が見えぬ程」が伝わって来る。
ネット見て植えた野菜に注ぐ愛    畠沢ヤエ子
【評】ネットを見ても店頭でも野菜の高値にはびっくりします。自分の育てている野菜を大切にしたい気持ちが手に取るようにわかります。
普通という幸せを皆忘れがち     渡邊 藍子
【評】毎日が普通であること以外に何を望むでしょう。「幸せ」とは何なのか。角度で諸説は出ると思いますが自分の幸せは本人のものです。普通にすごせる事への感謝を忘れずに。
白黒をグレーで濁す事勿れ      上杉 洋子
【評】白と黒は真逆(まぎゃく)のもの。生きてゆくのに、白黒にこだわれば身動きがとれなくなります。グレーで流すのも一策だと思いますよ。
弱音吐く心を笑う青い空       三浦津彌子
【評】どこまでも広い青い空を見て、悩みもうっぷんも解消。そんなことに悩んでいるのかと「笑っている」空なのだ。
メガネにペン作句の君は夢の中    石田 良子
【評】「お茶にしましょうか」にも反応なし。句作に夢中です、悩んでいます。も少し放っておきましょう。

2022年5月

戦争の悪の世界へ子ら巣立つ       佐藤 雪松
【評】卒業・就職したのはウクライナの悲劇が、生活に影を落とした年。「悪の世界」が重く悲しい。
友はいい共に笑うし共に泣く      三ツ倉奈美子
【評】「共に」「共に」と繰り返す表現がいいですね。友との距離感が出ています。大事にしてください。
若見栄(みえ)のブラウスかざしパッと買う    三浦津彌子
【評】「パッと買う」の五文字にいさぎ良さが感じられます。多少若見栄でも春の花街道にはピッタリ。闊歩しましょう。
たそがれの齢になるぞと激とばす     阿部 右門
【評】何歳になろうとも年令(とし)に対してのよみ方は人それぞれ。激を飛ばすほどの迫力はお見事。平伏です。
重箱の隅に見つけたいいヒント     岩谷 隆史
【評】着眼のいいユニークな句である。「重箱の隅」とはよく気付いたものである。
自分との決別ごときフォト処理      千葉 善美
【評】前途に対する不安、慎重派なんですね。でもまだ少し早いのではと思いますが。

2022年4月

白魚といわれた我が手今いずこ   三ツ倉奈美子
【評】サファイヤのリングが映(は)えていた白魚の様な指も生活の年輪の中で働く手に変わってしまいました。歴史をリセットしてみませんか。探していた美しいものがみつかるかも。「今いずこ」に未練と恋しさが感じられますね。
陽の中に雪が和らぐ声がする     芳賀 優子
【評】一瞬さしこんだ強い陽に硬雪の歓声が聞こえて来る様な場面。一時(ひととき)でも陽の温もりを感じた雪は手の届くところまで春が来てると感じたのでしょうか。
隠してたばあの中にはあめ一個    伊東 誠子
【評】お孫さんとのジャンケン、いつ開いてくれるのか楽しみです。家庭の温かみのある作品、至福の一時。
生き恥のひとつふたつはある背中   片岡登代子
【評】テンポよく表現しているところなどすばらしい。背中の表現の斬新な着想に引かれる。
手が迷うどちらを取るか得と徳    伊藤久美子
【評】何ごとも手に入れたいし得(とく)したいのが人情。しかし時には品性を欠くことに気づかぬことも…。
小さな春咲いていましたイヌフグリ  佐藤千穂子
【評】春、まっ先に咲く薄紫、よく見ると可愛いがどうしたことか名が悪い。どこがフグリなの。垂れてふくらみがあるからと辞書。リズム抜群。

2022年3月

輪になれば両極端も手をつなぐ      児玉ユキヱ
【評】輪になれば喧嘩はしていられない。仲直りの秘訣かも。日常をうまく描写。
掛けちがい変えてみようかボタン位置   上杉 洋子
【評】少し日常生活の見方を変えてみよう。前向きな姿にも共感。ボタン位置の着眼の妙に一票。
消しきれぬ記憶もあって八十年      石田えい子
【評】記憶の中には捨てたいもの、忘れたいものが山積しています。でも何度消しても又蘇る場面もたくさんあります。長い年月生きた証しとして大切に保存しましょう。
赤い糸よくも切れずに五十年       芳賀 優子
【評】赤い糸とは生まれた時から運命の糸として存在するものといわれます。縁あって結ばれた絆には五十年間の互いの喜怒哀楽がしみこんでもっと強くなっていくでしょう。簡単にはきれませんよ。
欲しいもの笑い袋と春の靴       御所野ユウ子
【評】悲しいことの多い世の中と、豪雪極寒(ごっかん)の冬に欲しいものは、心の底からの笑いとどこへでも行ける春の軽い靴。ずばり言い当てる穿(うが)ちの境地。
いい顔を残して閉じるコンパクト     三浦 紀子
【評】顔作りをして、最後に澄まして見せ、よし今日はこの顔で通そうと覚悟を決め、パタンと閉じる音も残る。見える情景。
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