北鹿川柳

川柳でユーモアのある街づくり
「川柳わらべの会」の協力を得て、平成7年にスタートした北鹿新聞社主催事業。管内5カ所に投句箱を設置し、広く読者の作品を募集しており、寄せられた作品の一部を毎月15日付の紙面で紹介しています。その中で月間賞に輝いた秀句を掲載します。
2020年3月
朝六時マスク不要の春を吸う 吉田 一雄
【評】春がそこまで来ているというのに深呼吸も出来ないこの頃、せめて早起きをして…と。
あのマスク風邪か花粉かコロナかも 成田 純一
【評】花粉症予防のマスクでも近頃見ると皆コロナウイルス予防のマスクに見えてくるが、まずはしっかりガードしよう。
老いてきて鯖よむ年も大胆に 長崎トモコ
【評】若い時は年齢を聞く事も失礼。自分で話す事は勿論なかった時代。老いて今、適当に近い年に自分を置く。隠す必要もなくなりましたね。
電話待つ桜咲いたと弾む声 庄司ふさお
【評】待ち望んでいた桜、見事に咲きました。お孫さんの声が聞こえて来そうです。電話を抱いて吉報を待っていた情景が目にみえる様です。
新聞の先ずは見出しを拾い読み 佐藤 義征
【評】あとでじっくり読むとして、一通り目を通す見出し。それにしても話題が多すぎる世の中。スマホでも読むんですか。
あれこれと並べてしまう腹の虫 太田 順吉
【評】人の心は何で決まるのかな。科学的には体液の分泌で?腹の虫のせいにしたら楽しいかもしれない。簡潔でいい句です。
【評】春がそこまで来ているというのに深呼吸も出来ないこの頃、せめて早起きをして…と。
あのマスク風邪か花粉かコロナかも 成田 純一
【評】花粉症予防のマスクでも近頃見ると皆コロナウイルス予防のマスクに見えてくるが、まずはしっかりガードしよう。
老いてきて鯖よむ年も大胆に 長崎トモコ
【評】若い時は年齢を聞く事も失礼。自分で話す事は勿論なかった時代。老いて今、適当に近い年に自分を置く。隠す必要もなくなりましたね。
電話待つ桜咲いたと弾む声 庄司ふさお
【評】待ち望んでいた桜、見事に咲きました。お孫さんの声が聞こえて来そうです。電話を抱いて吉報を待っていた情景が目にみえる様です。
新聞の先ずは見出しを拾い読み 佐藤 義征
【評】あとでじっくり読むとして、一通り目を通す見出し。それにしても話題が多すぎる世の中。スマホでも読むんですか。
あれこれと並べてしまう腹の虫 太田 順吉
【評】人の心は何で決まるのかな。科学的には体液の分泌で?腹の虫のせいにしたら楽しいかもしれない。簡潔でいい句です。
2020年2月
朝の眉より柔らかに夕の顔 伊藤みつ子
【評】キッと引いた眉の朝の顔、徐々にゆるんで優しい夕の顔、人間は変化して当然、能面ではいけません。心が形に出たいい句です。
世話してもわが道歩む猫である 芳賀 優子
【評】子も猫も周囲の言うことを聞かず行動する。そこが良くて猫を飼う。さて子供は、猫とは違うが複雑、でも可愛い。
最期まで凛と咲いてた友いたむ 伴 朝子
【評】余命を意識してからの心情は決して穏やかではないと思いますが、周囲に知られぬ様に最後まで凛として振る舞っていたお友達に「ありがとう」と言いたいですね。
祝杯にちょっと涙が味をつけ 片岡登代子
【評】誰のお祝いだったのでしょう。甘いお酒が一粒の涙でどんな味に変わったでしょうか。おめでとうございます。
満天の星と語らい千鳥足 鳥潟 洵
【評】こんな時代もあったなあ。若かったなあ。思い出すなあ。
二日酔い鬼の往ぬ間に迎え酒 成田 純一
【評】こうなるのなら一杯減らしておけばよかった。反省しきり。しかもバレたりして。
【評】キッと引いた眉の朝の顔、徐々にゆるんで優しい夕の顔、人間は変化して当然、能面ではいけません。心が形に出たいい句です。
世話してもわが道歩む猫である 芳賀 優子
【評】子も猫も周囲の言うことを聞かず行動する。そこが良くて猫を飼う。さて子供は、猫とは違うが複雑、でも可愛い。
最期まで凛と咲いてた友いたむ 伴 朝子
【評】余命を意識してからの心情は決して穏やかではないと思いますが、周囲に知られぬ様に最後まで凛として振る舞っていたお友達に「ありがとう」と言いたいですね。
祝杯にちょっと涙が味をつけ 片岡登代子
【評】誰のお祝いだったのでしょう。甘いお酒が一粒の涙でどんな味に変わったでしょうか。おめでとうございます。
満天の星と語らい千鳥足 鳥潟 洵
【評】こんな時代もあったなあ。若かったなあ。思い出すなあ。
二日酔い鬼の往ぬ間に迎え酒 成田 純一
【評】こうなるのなら一杯減らしておけばよかった。反省しきり。しかもバレたりして。
2020年1月
福帰りこれからは又おに二人 阿部 正一
【評】子や孫の帰省は福、見送り残された老いは「おに」、平仮名の「おに」はいい鬼のことでしょう。ユーモアとペーソス(哀感)。
寒天の星の美学を見て老いる 阿部 右門
【評】昔は飲んだ帰り、今は着込んで星を見る。冬の大三角形の壮大な美を。熱燗が待っているよ、阿部さん。
祝い皿紅白なますささやかに 中村 敦子
【評】祝膳のおなますはお皿のお化粧の様にほんのりと色どりとして添えられるもの。赤と白のおめでたい色が祝い皿を飾ってくれます。
まだやれる重箱並べ腕まくり 畠沢ヤエ子
【評】お正月のお重(かさ)ね作りは主婦の腕の見せどころ。キリリと腕まくりして挑戦する場面がみえる様です。「まだやれる]の心意気に脱帽です。
乾杯のグラスも曇る長話 澤田 亮
【評】祝辞の長いのには閉口。せっかくの内容も喜びが伝わって来ないがもう少し辛抱しようか。
祝い事先ず一献と笑顔から 能登谷清恵
【評】喜びが伝わって来る明るい気分の句。結句に大きな意味がある。
【評】子や孫の帰省は福、見送り残された老いは「おに」、平仮名の「おに」はいい鬼のことでしょう。ユーモアとペーソス(哀感)。
寒天の星の美学を見て老いる 阿部 右門
【評】昔は飲んだ帰り、今は着込んで星を見る。冬の大三角形の壮大な美を。熱燗が待っているよ、阿部さん。
祝い皿紅白なますささやかに 中村 敦子
【評】祝膳のおなますはお皿のお化粧の様にほんのりと色どりとして添えられるもの。赤と白のおめでたい色が祝い皿を飾ってくれます。
まだやれる重箱並べ腕まくり 畠沢ヤエ子
【評】お正月のお重(かさ)ね作りは主婦の腕の見せどころ。キリリと腕まくりして挑戦する場面がみえる様です。「まだやれる]の心意気に脱帽です。
乾杯のグラスも曇る長話 澤田 亮
【評】祝辞の長いのには閉口。せっかくの内容も喜びが伝わって来ないがもう少し辛抱しようか。
祝い事先ず一献と笑顔から 能登谷清恵
【評】喜びが伝わって来る明るい気分の句。結句に大きな意味がある。
2019年12月
分けるほど喜び大になる不思議 沢田 欣之
【評】全体から温かさとやさしさが伝わって来る。気負いのない表現に一票を投じました。
あくびする声が聞こえる衣装箱 能登谷清恵
【評】衣服にとっては、着てもらうのが喜びかな。一番底に畳まれている服に、日の目を見させて。「あくびする声」が絶妙。
刺されても鈍感力で生き残る 御所野ユウ子
【評】前向きな作品。「鈍感力」が効果的で心地よい。くよくよしないことが一番かも。
この歳で苦しい時は母(おや)恋し 石田えい子
【評】屈託のない表現。「この歳で」の表現に感極まった姿が見える。母はいつもありがたし、そして強し。心ではいつでも甘えられるのが母親ではないでしょうか。
悲しかな入らぬ服の馬肥えて 三上タツ子
【評】馬肥える秋が終わったこの時季、主婦の間でよく聞かれる嘆き。フィットネスが近頃ブームのようです。
鰰(ハタハタ)が跳んで来そうな五能線 渡邊 藍子
【評】水森かおりの「五能線」四番の歌詞にしてもいい句です。波しぶきに乗って跳んでくる鰰が見えるよう、リズムがいいですね。
【評】全体から温かさとやさしさが伝わって来る。気負いのない表現に一票を投じました。
あくびする声が聞こえる衣装箱 能登谷清恵
【評】衣服にとっては、着てもらうのが喜びかな。一番底に畳まれている服に、日の目を見させて。「あくびする声」が絶妙。
刺されても鈍感力で生き残る 御所野ユウ子
【評】前向きな作品。「鈍感力」が効果的で心地よい。くよくよしないことが一番かも。
この歳で苦しい時は母(おや)恋し 石田えい子
【評】屈託のない表現。「この歳で」の表現に感極まった姿が見える。母はいつもありがたし、そして強し。心ではいつでも甘えられるのが母親ではないでしょうか。
悲しかな入らぬ服の馬肥えて 三上タツ子
【評】馬肥える秋が終わったこの時季、主婦の間でよく聞かれる嘆き。フィットネスが近頃ブームのようです。
鰰(ハタハタ)が跳んで来そうな五能線 渡邊 藍子
【評】水森かおりの「五能線」四番の歌詞にしてもいい句です。波しぶきに乗って跳んでくる鰰が見えるよう、リズムがいいですね。
2019年11月
金欠も遊んだ日々も色褪(あ)せず 伴 朝子
【評】誰も皆、昔は金欠病だった。あの苦しみも、耐えて遊んだ毎日も、鮮やかに思い出せる。この先も耐えていける!
消息は蜜柑(みかん)林檎(りんご)の贈り合い 佐藤 雪松
【評】いつものように、今頃になると必ず届く。形式的な年賀より、ずしりと重い真心と人情。お互いの「元気」を食べて。
それぞれの道一筋に文化の日 成田 純一
【評】十一月は文化の日と勤労感謝の日。受章された方もそうでない方もこの一年頑張った自分をまず誉めよう。そして一年の労に感謝しよう。
指定日にまだ使えそう昭和の目 片岡登代子
【評】現代の物余りの一面を表わし巧み。「昭和の目」が効果的であり、主婦の目にも共感。
秋晴れの陽に誘われて靴をはく 作山 キヌ
【評】秋はスッキリ晴れる日は少ない。天高く晴れた日は貴重な一時(ひととき)。靴の紐(ひも)をきちんとしめて出かけましょう。陽に誘われて歩幅を大きく高揚する心がみえるようです。
路地裏で群れて夢中で缶を蹴る 梅村 房子
【評】蹴った缶が風に乗って自分の足元に戻ってくる事もあります。泣いて蹴れば缶も泣き顔でもどって来る。心象が共有されるのでしょうか。
【評】誰も皆、昔は金欠病だった。あの苦しみも、耐えて遊んだ毎日も、鮮やかに思い出せる。この先も耐えていける!
消息は蜜柑(みかん)林檎(りんご)の贈り合い 佐藤 雪松
【評】いつものように、今頃になると必ず届く。形式的な年賀より、ずしりと重い真心と人情。お互いの「元気」を食べて。
それぞれの道一筋に文化の日 成田 純一
【評】十一月は文化の日と勤労感謝の日。受章された方もそうでない方もこの一年頑張った自分をまず誉めよう。そして一年の労に感謝しよう。
指定日にまだ使えそう昭和の目 片岡登代子
【評】現代の物余りの一面を表わし巧み。「昭和の目」が効果的であり、主婦の目にも共感。
秋晴れの陽に誘われて靴をはく 作山 キヌ
【評】秋はスッキリ晴れる日は少ない。天高く晴れた日は貴重な一時(ひととき)。靴の紐(ひも)をきちんとしめて出かけましょう。陽に誘われて歩幅を大きく高揚する心がみえるようです。
路地裏で群れて夢中で缶を蹴る 梅村 房子
【評】蹴った缶が風に乗って自分の足元に戻ってくる事もあります。泣いて蹴れば缶も泣き顔でもどって来る。心象が共有されるのでしょうか。