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北鹿川柳

川柳でユーモアのある街づくり
「川柳わらべの会」の協力を得て、平成7年にスタートした北鹿新聞社主催事業。管内5カ所に投句箱を設置し、広く読者の作品を募集しており、寄せられた作品の一部を毎月15日付の紙面で紹介しています。その中で月間賞に輝いた秀句を掲載します。

2023年5月

一年生背のランドセル板につく      石田きょう
 【評】たった一カ月でランドセルが板についている。今の一年生の心身の成長の早さを感じる。
大切な友のようです投句箱        畠沢ヤエ子
 【評】北鹿川柳の投句箱を大切な友として俳句に励んでいる姿が目に浮かびます。気負いのない表現にも脱帽です。
脱マスク久しくお洒落紅を差す      佐々木清子
 【評】遂に紅を差す瞬間が訪れましたね。うれしさで手が振えませんか? 女性は装う事お洒落をする事で何度も甦るもの。たのしみましょう。
止まらないうなぎ昇りの生活費      加福みよこ
 【評】「うなぎ昇り」とは実感としての表現。主婦として家庭の経済を調整する場でのため息が聞こえてきそうな一句。
開校の朝の蒼天子ら光る         佐京奈緒美
 【評】「阿仁学園」開校の朝は、雲一つない青空だった。まぶしいのは大空に負けぬ子らの輝きだった。情景が見える爽やかな句。幸あれ学園。
決心が揺らいで見える顔の色      吉田じゅん一
 【評】相手の顔を、表情で推し量るなんて、さすが年の功。経験の力。穿(うが)ちが冴える。

2023年4月

言うまいと思えど愚痴は出るものよ    伊藤みつ子
 【評】口をついて出る愚痴ならば、聞いてあげる。く どくどと、ぼやく愚痴ならお断り。語り口調の新境地 で洒落ています。
遠距離で信じて待ったプロポーズ     三浦津彌子
 【評】遠距離、信じる、待つ、プロポーズ、四つの重 厚な語が並び迫ってくる。本人でなくとも胸が熱くな ります。降参。
食欲を少し抑(おさ)えて春の服     伴  朝子
 【評】春は装(よそお)いの時期。一冬越せば体型も 変わっている。治療法もなければ自分で調整するしか ない。難業でしょうが衣食を調整しましょう。春を闊 歩(かっぽ)出来ます様に。
ポケットに話題を詰めた花見会      畠沢ヤエ子
 【評】今日は友人とのお花見(友人だと解釈)。ポ ケットに隙間なくつめこんだ話題を聞いてみたい気も します。ポケットが空(カラ)になるまでどうぞごゆ っくり。翌日から又平常の毎日が始まります。
壮大なドラマ始まる子の巣立ち      三浦 紀子
 【評】「壮大な」にどんな期待を持ったのでしょう。 子の夢に期待と不安親ならではの一句。
変化球時々暮らし光らせる        片岡登代子
 【評】平凡な日々に一隅を照らす光のごとき一言が  我が家の暮らしに変化を与えてくれる。味わい深い作。

2023年3月

同級会マドンナでしたと今さらに    三ツ倉奈美子
 【評】「今さらに」と結んだのには可成りの勇気が必要だったでしょう。でも誰かが見つめてるかもしれませんよ。普通に振る舞いましょう。
生きて行く重さ軽さを知る齢(よわい) 御所野ユウ子
 【評】あの時はできたのに今はできない。重荷がこたえる高齢の今、人生の今。来し方を振り返させる句。
年齢(とし)の所為(せい)何をするにもどっこいしょ    鎌田 邦子
 【評】言わないつもりでいても、いつの間にか言っている。強気で生きていた頃は言わなかったのに、今は弱気。
好きなもの好きなだけ食べ医者通い    斎藤いく子
 【評】「好きな」「好きな」と前のめりの後は医者へまっしぐら。テンポよく明快で潔(いさぎよ)い。川柳の真髄を行く。
気に入りの菜箸(さいばし)ゆがみ終りとす  伴  朝子
 【評】長年お台所の長老として振舞って来た菜箸も引退の時を迎えたのですか?長い間ご苦労様と声をかけてあげましょう。寂寥感が残ります。
首の皺世界にひとつのネックレス     芳賀 ヒサ
 【評】「世界にひとつ」が効(き)いています。千両万両積んでも買えない自分だけの愛(いと)しいものとしてたまにはお手入れしましょうか

2023年2月

考えて迷って選んで的外れ        佐藤美智子
 【評】考えて迷いに迷って選んでみた。的外れとあとでわかったが、自分自身を高めたと思いたい。上五・中七の繰り返しが真に迫る。
本棚にまだ亡夫(つま)が居て三回忌   片岡登代子
 【評】もう三年にもなって、改めて書斎を見回し、じっくり見ればじんわり思い出す、胸に伝わる数数。「有難う」の言葉も聞こえる。
老いの身も笑いのツボを押してみる    三浦カツヱ
 【評】笑いを忘れたら生きる事の楽しみも豊かさも消える現実。積極的に笑いのツボを押してみましょう。「笑いのツボ」はお宝ですよ。
献立は財布に聞いて考える        児玉ユキヱ
 【評】社会問題になっている物価高。きっとお財布は良きアドバイザーになってくれると思います。今夜は派手でなくても工夫した美味を味わいましょう。
車座の中で上下のない笑い       御所野ユウ子
 【評】車座って心が和みます。気負いのない表現に日常の楽しさが伝わって来る。
年金のとろ火で生活(くら)す薄い味   三上タツ子
 【評】「とろ火」の表現がとても新鮮に思い、「薄い味」で主婦の心情がまた面白い。

2023年1月

薄くなる財布宥(なだ)めて秋刀魚焼く  児玉ユキヱ
 【評】ついに今年はサンマが目に入らなかった。いや、目にも入れなかった。高くて高くて。財布を宥めて買った作者、立派です。
人生を楽しめる人勝者です        伴  朝子
 【評】スマホで話してラインして、友と会って旅をして楽しんで、熟女となって長生きは女性。男は熟す暇も意欲もない。平均寿命は歳対歳。
痛む友の無念の文字に涙あり       三浦津彌子
 【評】無念の文字に感極まった姿が見える。緊迫感があり味わい深い作。
托鉢のチャリンと遠く亡母の声      珠井 妙安
 【評】「チャリンと遠く」何とも言いようのない親子の絆。温かさと切なさが伝わる。暮れのさびしさの一面もありたくみな文章。
一筆の近況添える年賀状         上杉 洋子
 【評】印刷された画一的な文面に一行でも肉筆の文をみた時はホッとする瞬間。温かみがこぼれますね。
千鳥足帰巣本能あると見え        石田よし子
 【評】千鳥足でもいいじゃありませんか?間違いなく家の門を叩く御主人は立派です。「帰巣本能」と詠んだのには自信と信頼が見え隠れします。
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