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北鹿川柳

川柳でユーモアのある街づくり
「川柳わらべの会」の協力を得て、平成7年にスタートした北鹿新聞社主催事業。管内5カ所に投句箱を設置し、広く読者の作品を募集しており、寄せられた作品の一部を毎月15日付の紙面で紹介しています。その中で月間賞に輝いた秀句を掲載します。

2019年11月

金欠も遊んだ日々も色褪(あ)せず    伴  朝子
 【評】誰も皆、昔は金欠病だった。あの苦しみも、耐えて遊んだ毎日も、鮮やかに思い出せる。この先も耐えていける!
消息は蜜柑(みかん)林檎(りんご)の贈り合い   佐藤 雪松
 【評】いつものように、今頃になると必ず届く。形式的な年賀より、ずしりと重い真心と人情。お互いの「元気」を食べて。
それぞれの道一筋に文化の日       成田 純一
 【評】十一月は文化の日と勤労感謝の日。受章された方もそうでない方もこの一年頑張った自分をまず誉めよう。そして一年の労に感謝しよう。
指定日にまだ使えそう昭和の目      片岡登代子
 【評】現代の物余りの一面を表わし巧み。「昭和の目」が効果的であり、主婦の目にも共感。
秋晴れの陽に誘われて靴をはく      作山 キヌ
 【評】秋はスッキリ晴れる日は少ない。天高く晴れた日は貴重な一時(ひととき)。靴の紐(ひも)をきちんとしめて出かけましょう。陽に誘われて歩幅を大きく高揚する心がみえるようです。
路地裏で群れて夢中で缶を蹴る      梅村 房子
 【評】蹴った缶が風に乗って自分の足元に戻ってくる事もあります。泣いて蹴れば缶も泣き顔でもどって来る。心象が共有されるのでしょうか。

2019年10月

知恵湧いて捨てるもの無し古着たち     成田 キヨ
【評】「古着たち」と表現し、愛着があるのでしょう。見方を変えたり工夫したり。まだまだ着られる。
空財布展げたままの経済論 梅村 房子
 【評】買う欲も金も無いが庶民には、生活が楽であればいい。キャッシュカードで膨れる財布。愚痴は止まない。
泣くもんか我慢している男の子       小林 義克
 【評】男の子は泣いてはいけない。これは大人が勝手に決めたこと。悲しい時、泣きたい時の感情表現は尊いものです。抑圧された感情が爆発した時が一番怖いもの。泣きたい時は素直に泣きましょう。
度忘れも友が繋いで会話なる        児玉 ユキヱ
 【評】加齢と共にだれにでも出て来る度忘れ。やさしい言葉で助言してくれる友に感謝。穏やかな場面が展開されてよかったですね。
誤解され開けてみせたい胸の内       山内 トミヱ
 【評】開けて見せることが出来たらストレス発散になるのだが本音を云えない苦しい胸の内、これでいいのかも。
シャッターを開けて追い出す閑古鳥     早川 恵美子
 【評】表現のおもしろさ、閑古鳥が効く。前向きに生きる作者の朝をうまく描写している。

2019年 9月

価値観も感情も無しキャッシュレス    鎌田 邦子
 【評】買うまでは気持ちも損得も旺盛だったのに。支払いは無表情のカード社会。潔い詠み方。
片付けは捨てるに限るだが未練      千葉 恭子
 【評】どっかりと座ってしまえばだめ、思い出に浸ればだめ。立ったまま、時間のない時にやるべし。川柳の神髄小気味よさが光る句。
風呂敷を広げて旨い話きく        三浦津彌子
 【評】「風呂敷を広げて」着眼のいいユニークな句である。気負いのない表現に楽しさが伝わる。
朗らかに生きて世間を広くする      沢田 欣之
 【評】屈託のない表現が心地よい。作者の生きざまがよく表れている。全体から心の広さが伝わる。
「寿」の一文字で去る愛娘        三浦 紀子
 【評】「寿」とはおめでたいはず。でも手しおにかけた娘が去ってゆく親の心情は淋しさ悲しさで大きくゆれ動く。でも、涙は秘めておめでとうと言いましょう。
年重ね広がる皺にドラマあり       高谷 勝子
 【評】九十歳一〇〇歳の人の皺は勲章という表現もありますね。長い長い人生ドラマがつまっている一本一本の皺。感無量の一句だと思います。

2019年 8月

部活の子ペットボトルを回し飲み     早川恵美子
 【評】今年の夏を代表するような一句。微笑ましいひとこまをとらえた表現。「回し飲み」が巧み。
曇らない様にメガネは拭いておく    御所野ユウ子
 【評】転ばぬ先の杖、いざという時はすぐ使える準備の良さ、前向きな作品。「曇らない様に」が効果的。
終幕が近い映画の昭和篇         成田 純一
 【評】映画も、ビデオ、スマホと各自好きな時間、好きな場所で見られる様になった。次第にセピア色になり遠くなってゆく昭和の映画に一抹の哀愁を覚える一句。
カタカナが溢れ難解超高齢        櫻庭  尚
 【評】カタカナに仮名をつけなければ理解出来なくなった当世。日本語で書く、話す、当たり前の事が現実では少なくなった事に淋しさを感じる。美しい日本語をもっと大切にしましょう。
大相撲運も味方の徳俵(とくだわら)   佐藤 義征
 【評】絶体絶命のピンチから逃れる幸いを運と言い、どこの世界にもある。実力の一つと見做(みな)そう!徳俵の名もいいね。
デートとはお茶と映画のあの時代     石田えい子
 【評】純喫茶で粘った思い出、映画のタイトルも内容も憶えてないこと、男が全部支払う時代だった気がする。

2019年 7月

旬のもの絵手紙そえておすそ分け     虻川志津子
 【評】昔はおとなりさん同士でめずらしいもの、美味しいものは小分けして味わったものでした。絵手紙をそえてくれた事で、山のものか畑の新どりのものかわかりませんが、一ランクお味があがったと思います。ごちそう様でした。
いいじゃないあやめと菖蒲ちがっても   斎藤いく子
 【評】色や花弁が少しちがうだけのことであまり気にしないで美しいものは鑑賞しましょう。花の嫌いな人はいないと思います。学問的説明はこの際は御法度にしてね…。
井戸端の口は災い貝になり        安部カネコ
 【評】女性に限らず、井戸端はどこにもあって、つい口がすべりがち。少しだけ開けてあとは聞いていようか。
父の日の花がカンフル宅配便       佐藤 雪松
 【評】娘から花が届いて、萎んでいた心がぱあ~っと明るくなった。カンフル剤になってくれた。
手土産の包みきょろきょろ孫二人     高谷 勝子
 【評】温かさが伝わって来る。待ち遠しい子供の姿が浮かぶ。そしてユーモア感も。
休肝日夫は無口で茶を啜る        鎌田 邦子
 【評】屈託のない表現。「無口で」が効果的。テンポよく表現されているところもよい。
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