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北鹿川柳

川柳でユーモアのある街づくり
「川柳わらべの会」の協力を得て、平成7年にスタートした北鹿新聞社主催事業。管内5カ所に投句箱を設置し、広く読者の作品を募集しており、寄せられた作品の一部を毎月15日付の紙面で紹介しています。その中で月間賞に輝いた秀句を掲載します。

2023年10月

講評の苦言に秘める深い意味       澤田  亮
 【評】「苦い薬は効く」の表現の様に苦言も時間経過と共に味が出て来るもの。秘めたるものに理解を。
美味しさを探しています秋の午後     渡邊 藍子
 【評】食欲の秋、音楽の秋、健康スポーツの秋に女性は、甘さと味の深さを求めています。激しく求めています。
二人居の不平不満にオブラート      鎌田 邦子
 【評】依怙地(いこじ)な二人の言葉はオブラートに包んで発するという。思いやりのある優しいお二人、老夫婦、かくありたいです。
人生は迷いながらの模様編み       岩谷 隆史
 【評】人生を編み物にたとえたのが面白く、迷いや喜怒哀楽が模様となって現れる「穿ち」が冴えています。久しく聞いていない「模様編み」。
悟り得て腹立てる事今は無し       虻川 正美
 【評】「悟りを開く」とは天上人(てんじょうびと)になるのではなく毎日を肯定的に生きる事。日々を穏やかにすごすこと。丸い円の中で生きてゆきたいものですね。
「足る」を知る身に言い聞かせ日々生きる 石田えい子
 【評】「足らない」と思えば欲は果てしないもの。今の生活を上手に生きてゆく。教訓とも思える句です。

2023年9月

汗の倍飲んだ空缶何本か        畠山 正秀
 【評】今年夏を表現するにふさわしい一句。日常をうまく描写。簡素にまとめられている。
どんな花噂話に咲く花は        浅岡  仁
 【評】話に花が咲いて、特に噂話は終わらない。いい噂、悪い噂。明るい花でありたいですね。「どんな花」に穿ちを感じます。
ここだけの噂話は飛び火する      斎藤いく子
 【評】「ここだけの話」はどこまでも飛びます。うわさに類する話、四方山(よもやま)話は。「ここだけの」が句を引き締めています。
雨雲が笑って通り過ぎ猛暑       吉原 キヨ
 【評】ことしほど雨雲を待った夏はありません。「笑って通り過ぎ」が憎いです。人ごとでない降水帯も怖いが、来年ははたして?
ひとつ知りふたつ忘れていく恐さ    岩谷 隆史
 【評】人生だれしも通る道かも。されどやっぱり恐いよね。意表をついてユニーク。
虫かごをぽいっと捨てて新学期     三上タツ子
 【評】二学期への決意が伺われる一句。「ぽいっと捨てて」の勇気に共感を覚える。すがすがしい句。

2023年8月

補助輪がとれて自立の風にのる     児玉ユキヱ
【評】やっと自由の身。これからの生活がなんと楽しいことか。
シャツ一枚ガブッと西瓜夏休み     今村ゆう子
【評】情景が目に浮かぶ。今年は特に暑い日が多くあったと思う。シャツ一枚がすべて。
新品のメガネも曇る事件事故      畠沢ヤエ子
【評】「新品の」にこの句のよさが詰まっている。親子兄弟の事故の多いこの頃、目を覆いたい日々である。
百年に一度の驚異「ショータイム」   高林 政輝
【評】百年たっても現れないかもしれない怪物。あれこれ言う人はいません。みごとな語の収まり。「軽み」が爽快です。
過ぎし日の祖父の「めんこ」で育った子 伊東多喜子
【評】祖父の胡座(あぐら)にとっぷりと入って可愛いがられた子が、今はハンサムな高校生。爺さん「めんこ」が懐かしい。
遠ざかる孫にエールのありったけ    岩谷 隆史
【評】離れてゆく孫に、難しい世間の波に向けてのエール。「ありったけ」の言葉が厚く切ない。

2023年7月

O(オー)型で苦も楽に変えはや八十路 佐藤千穂子
 【評】大らかなO型気質の作者にあっては、苦も楽も難なく熟(こな)して八十年、O型には長生きが多いという統計はまだ出ていないが、保証します。
結果よし苦労話はチャラにする    御所野ユウ子
 【評】結果は良かったのだから、苦労など無かったことにするという、「チャラ」が何とも小気味よい。軽妙は川柳の真髄。
月曜日スポーツ欄にある余熱     吉田じゅん一
 【評】下五の「ある余熱」、着眼の妙、意表を突いてユニーク。簡素にまとめられている。
進学の焦(あせ)り無口な貝になる   片岡登代子
【評】家のこと、親との話し合い、自分の希望、だんだん言葉少なになりますね。焦(あせ)り、無口、貝の表現がリアルです。「穿(うが)ち」こそ川柳です。
難聴も悪口だけは良く聞こえ      石田えい子
 【評】よくある話。周りをよく見て生活しましょう。
一大事汗も吹っとぶ探し物       三浦津彌子
 【評】生活の中でこれほど大事な物とは何だろう。後でひっそり教えてね。

2023年6月

生きる術蜘蛛(くも)は神秘に糸を引く  澤田  亮
 【評】巧みに狡猾(こうかつ)に、獲物をとるための巣を張るのでしょうが、作者は神秘と表現します。美しい幾何学模様を。実感共鳴する句です。
無知という白地を染める赤い恥      岩谷 隆史
 【評】純真無垢な白い地に、ひどい恥を人前でかいてしまった。あかっぱじと、あとでは言えるが染まって残る恥を、みごとに作句。心憎い…。
運転に脇の小言は守り神         山口 陽子
 【評】小言でもとなりで一声かけられた気分は安全運転に必要、感謝したい。
角張った話まあるい箱に入れ      御所野ユウ子
 【評】角が立たない様にという思いやりの表現、温かさが伝わって来る、ポンと膝をたたきたくなる句。
雑草も花を咲かせて命乞(ご)い     嘉成セツ子
 【評】踏まれて蹴られて終えるのが雑草の宿命ならここでひと花咲かせてみよう。けなげな心境、覚悟、見せて下さいね。
然(さ)り気なく値引を待って時潰(つぶ)す 千葉 恭子
 【評】然(さ)り気なく振舞うのも演技力が大切。値引きを待つのは主婦の特技とはいえ忍耐も必要。がんばりましょう。
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