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北鹿川柳

川柳でユーモアのある街づくり
「川柳わらべの会」の協力を得て、平成7年にスタートした北鹿新聞社主催事業。管内5カ所に投句箱を設置し、広く読者の作品を募集しており、寄せられた作品の一部を毎月15日付の紙面で紹介しています。その中で月間賞に輝いた秀句を掲載します。

2020年4月

もう傘寿母は百寿でまだ元気       木村 重子
 【評】百歳でお元気なお母さんの前でもう傘寿などいわないことです。お母さんを追い越す前向きの生き方が大事。
傘寿すぎ山ありすぎた俺の旅       髙橋 一三
 【評】人生山あり谷ありといわれてきました。振り返ればありすぎたと思うでしょうがすべて人生の糧(かて)になったものとプラス思考で行きましょう。
新コロナ世界を変えていつ眠る      岩谷 幸子
 【評】世界地図を赤く染めて、SF映画だったら見てられるのに。おぞましいウイルス。いつ眠る、の言葉に共鳴。
コロナ菌一帯一路で事を成す       阿部 右門
 【評】事の発端は中国、まるでシルクロードを走るごとく、最悪のシナリオ、アフリカ。痛烈な非難を吐き捨てる句。
一生は旅という名の長い道       長谷部マツ子
 【評】先の見えない旅、その通りですね。思わず出た本音、着眼のいい句。
羽根つけて財布と共に旅に出る      今村ゆう子
 【評】「羽根つけて」旅行先の商店街はどんなに喜ぶことだろう。両手を挙げて感謝の姿勢が見えるようです。

2020年3月

朝六時マスク不要の春を吸う       吉田 一雄
 【評】春がそこまで来ているというのに深呼吸も出来ないこの頃、せめて早起きをして…と。
あのマスク風邪か花粉かコロナかも    成田 純一
 【評】花粉症予防のマスクでも近頃見ると皆コロナウイルス予防のマスクに見えてくるが、まずはしっかりガードしよう。
老いてきて鯖よむ年も大胆に       長崎トモコ
 【評】若い時は年齢を聞く事も失礼。自分で話す事は勿論なかった時代。老いて今、適当に近い年に自分を置く。隠す必要もなくなりましたね。
電話待つ桜咲いたと弾む声        庄司ふさお
 【評】待ち望んでいた桜、見事に咲きました。お孫さんの声が聞こえて来そうです。電話を抱いて吉報を待っていた情景が目にみえる様です。
新聞の先ずは見出しを拾い読み      佐藤 義征
 【評】あとでじっくり読むとして、一通り目を通す見出し。それにしても話題が多すぎる世の中。スマホでも読むんですか。
あれこれと並べてしまう腹の虫      太田 順吉
 【評】人の心は何で決まるのかな。科学的には体液の分泌で?腹の虫のせいにしたら楽しいかもしれない。簡潔でいい句です。

2020年2月

朝の眉より柔らかに夕の顔        伊藤みつ子
 【評】キッと引いた眉の朝の顔、徐々にゆるんで優しい夕の顔、人間は変化して当然、能面ではいけません。心が形に出たいい句です。
世話してもわが道歩む猫である      芳賀 優子
 【評】子も猫も周囲の言うことを聞かず行動する。そこが良くて猫を飼う。さて子供は、猫とは違うが複雑、でも可愛い。
最期まで凛と咲いてた友いたむ      伴  朝子
 【評】余命を意識してからの心情は決して穏やかではないと思いますが、周囲に知られぬ様に最後まで凛として振る舞っていたお友達に「ありがとう」と言いたいですね。
祝杯にちょっと涙が味をつけ       片岡登代子
 【評】誰のお祝いだったのでしょう。甘いお酒が一粒の涙でどんな味に変わったでしょうか。おめでとうございます。
満天の星と語らい千鳥足         鳥潟  洵
 【評】こんな時代もあったなあ。若かったなあ。思い出すなあ。
二日酔い鬼の往ぬ間に迎え酒       成田 純一
 【評】こうなるのなら一杯減らしておけばよかった。反省しきり。しかもバレたりして。

2020年1月

福帰りこれからは又おに二人       阿部 正一
 【評】子や孫の帰省は福、見送り残された老いは「おに」、平仮名の「おに」はいい鬼のことでしょう。ユーモアとペーソス(哀感)。
寒天の星の美学を見て老いる       阿部 右門
 【評】昔は飲んだ帰り、今は着込んで星を見る。冬の大三角形の壮大な美を。熱燗が待っているよ、阿部さん。
祝い皿紅白なますささやかに       中村 敦子
 【評】祝膳のおなますはお皿のお化粧の様にほんのりと色どりとして添えられるもの。赤と白のおめでたい色が祝い皿を飾ってくれます。
まだやれる重箱並べ腕まくり       畠沢ヤエ子
 【評】お正月のお重(かさ)ね作りは主婦の腕の見せどころ。キリリと腕まくりして挑戦する場面がみえる様です。「まだやれる]の心意気に脱帽です。
乾杯のグラスも曇る長話         澤田  亮
 【評】祝辞の長いのには閉口。せっかくの内容も喜びが伝わって来ないがもう少し辛抱しようか。
祝い事先ず一献と笑顔から        能登谷清恵
 【評】喜びが伝わって来る明るい気分の句。結句に大きな意味がある。

2019年12月

分けるほど喜び大になる不思議      沢田 欣之
 【評】全体から温かさとやさしさが伝わって来る。気負いのない表現に一票を投じました。
あくびする声が聞こえる衣装箱      能登谷清恵
 【評】衣服にとっては、着てもらうのが喜びかな。一番底に畳まれている服に、日の目を見させて。「あくびする声」が絶妙。
刺されても鈍感力で生き残る       御所野ユウ子
 【評】前向きな作品。「鈍感力」が効果的で心地よい。くよくよしないことが一番かも。
この歳で苦しい時は母(おや)恋し    石田えい子
 【評】屈託のない表現。「この歳で」の表現に感極まった姿が見える。母はいつもありがたし、そして強し。心ではいつでも甘えられるのが母親ではないでしょうか。
悲しかな入らぬ服の馬肥えて       三上タツ子
 【評】馬肥える秋が終わったこの時季、主婦の間でよく聞かれる嘆き。フィットネスが近頃ブームのようです。
鰰(ハタハタ)が跳んで来そうな五能線  渡邊 藍子
 【評】水森かおりの「五能線」四番の歌詞にしてもいい句です。波しぶきに乗って跳んでくる鰰が見えるよう、リズムがいいですね。
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