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北鹿川柳

川柳でユーモアのある街づくり
「川柳わらべの会」の協力を得て、平成7年にスタートした北鹿新聞社主催事業。管内5カ所に投句箱を設置し、広く読者の作品を募集しており、寄せられた作品の一部を毎月15日付の紙面で紹介しています。その中で月間賞に輝いた秀句を掲載します。

2021年10月

NEW
総入れ歯酸(す)いも甘いも噛み分ける  庄司ふさお
 【評】自前の歯は無いが、経験豊かで何でも噛み分ける高齢者、いわゆる古老に私もなりたい。本当の味と入れ歯は別の問題。
待ち合わせマスクが待てばマスク来る   成田 純一
 【評】マスクなしの日本はどこにもありません。眉と目だけの顔が溢れ、一億何人すべて美男美女です。この句のユーモア一級品です。
子育てに甘味異(こと)なる父と母    鳥潟  洵
 【評】子育てには濃淡多様な甘さが交差すると思いますが辛みを入れるタイミングもお忘れなく。「甘味異(こと)なる」が両親の愛情を細かく分析しているのでは。
美しきこの月何みでなぜ曇る       梅村 房子
 【評】澄んだ秋の夜の月は多様な幻想を生んでくれる。時にこの瞬間を消す雲を恨んだり嫉妬さえ感じることもある。「なぜ曇る」はやるせない感情の表れかも。
スナップにマスク顔だけ写ってる    御所野ユウ子
 【評】社会をチクリ、情景が絵のように浮かび表現も巧み。出来た写真を見て思わず出た本音。
音のない祭りも過ぎて夏終わる      石田えい子
 【評】「音のない祭り」いかにも寂しげでしかも夏が終わるで感極まった姿が見える。残念のひと言。

2021年9月

振り上げた父の拳にある涙        児玉ユキヱ
 【評】拳を振り上げてはみたものの下ろすに下ろせずただ涙、きっと子も涙、味わい深い句。
主婦ですが休暇下さい三日だけ      齋藤 優子
 【評】下五の「三日だけ」にこの句の良さのすべてが詰まっている。気負いのない表現の一句に一票。
むなしいが赤を身につけ空(カラ)元気  斎藤いく子
 【評】赤い色で装う事に年齢はありません。「むなしい」などマイナスの表現ではなく「空(カラ)」をぬいて元気に闊歩しましょう。
バス停で行きも帰りも一人待つ      小林 義克
 【評】車社会の前はどこのバス停も並んで待ってた時がありました。行きも帰りも一人という表現に寂しささえ感じます。
コロナ禍に翼が欲しい遠い子へ      伊多波サヨ
 【評】コロナの禍(わざわい)が、あらゆる事を制約する。すぐにでも子の元へ飛んで行きたいのに。県境を越えない自粛、まだまだ続く。
コロナ禍で両手上げてる招き猫      渡邊 藍子
 【評】時短と言わず、お客さんもっと来てよなのか、お手上げ万歳の両手なのか。おもしろいユーモア、川柳の真髄。

2021年8月

結局は福島の海が浄化槽         成田 純一
【評】汚染水の処理は、長い間の議論の末、海へ流して浄化することになる。海という槽の中で少しずつ何十年も。魚たちの眼が悲しい。
一瞬のまばたきだった青い春      御所野ユウ子
【評】未熟さゆえに、迷って悩んだあの時は、一体何だったのか。今にして思えばほんの一瞬のこと。
叩く手も撫でる手もみな親心       三浦 紀子
【評】子育ての基本、しかったり、ほめたり、親はむずかしい。金メダルの親はどうして育てたのでしょう。一冊の本にしたいもの。
海の青問えば明日があると言う      片岡登代子
【評】海の青、空の青、木々の青、みな問いたくなる青である。苦しい時の神頼みにも似た奥深さがあり母への頼みにも似た味わい深い一首である。
雑草に追い掛けられて息が切れ      鳥潟  洵
【評】追いかけられてもどこかにゴールはあるもの。振り返れば又同じところからスタートしようとしている。雑草の英知と生命力には叶わない。運命共同体として付き合うのも一手。
両の手で前へ進めと背を撫でる      伊東 誠子
【評】気分の落ちこみなどで自分の力だけでは行動出来ない時、ことばよりも温かい心で包んであげる。片手ではなく両の手の表現には愛情さえ感じます。

2021年7月

ふと思う生みの苦しみ作句かな      斎藤いく子
 【評】子を生む時の苦しみにも似るのでしょうか。ユーモアのある川柳は楽しく作ろう。そうは言っても……。
薔薇(ばら)の香の魔法にかかり蝶になる 伊藤久美子
 【評】香り高い花でなくとも、独特の香りが好きで、蝶だってあちこち巡るでしょう。蝶の気持ちがわかる私は、もう蝶です。
夕方に子を呼ぶ親も見当らず       長崎トモコ
 【評】昼時も夕飯時も遊びに出かけた子どもを呼ぶ親や祖母。昔はたくさんいました。なつかしい風景が浮かびます。
はしご酒死語になりそな気配する     齋藤 優子
 【評】昔なつかしい風景も今はもう影もなし。三密三密で日が暮れる。主婦の心情がおもしろい。
空(うつ)ろな日わたしの影もしぼんでる 伴  朝子
 【評】心も体も空白になってしまった様なすぐれない日は路端(ろばた)の影も察しがよく昼行燈の様相に移る。存在感の有無をしぼんでるとの表現。
生命線とぎれとぎれて100目指す    三上タツ子
 【評】生命線もその日によって寄り道したり絡んだりするもの。自分で修復しましょう。100まで生きる心意気。脱帽です。

2021年6月

守れない田畑に詫びる父の背(せな)   児玉ユキヱ
 【評】昨年までは何とか耕せたのに、断腸の思いで見ている姿。哀切きわまりない句です。
クラス会話題溢れて私小説        片岡登代子
 【評】書きたいと思って書く小説ではない、悲喜こもごもの人生ドラマを私小説と言い切った川柳の眼です。
心旅せめてこの時期未知へ飛ぶ      中村 敦子
 【評】行動規制される今の時期。ノンパスでどこへでもゆける心旅。冒険心で未知の世界へ旅するのもいいですね。
挫(くじ)けたらオブラートしてくれた亡母(はは)     前田 倫子
 【評】おちこんだ時、笑顔を忘れた時、フンワリとやさしく包んでくれた温もりは年を経ても体感として残ってるものですね、懐かしさがこみ上げてくる一句。
故郷は刺さった小骨抜くところ      三浦 紀子
 【評】「小骨抜く」表現のおもしろさ、目のつけどころ、故郷はありがたい所ですね。大館で良かったと思える日々に感謝。
言い負かし冷たい風が胸に沁み     吉田じゅん一
 【評】言い勝ったまではよかったがなんとなく後味の悪い冷たい目線に反省しきり、よくあることですね。
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