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北鹿川柳

川柳でユーモアのある街づくり
「川柳わらべの会」の協力を得て、平成7年にスタートした北鹿新聞社主催事業。管内5カ所に投句箱を設置し、広く読者の作品を募集しており、寄せられた作品の一部を毎月15日付の紙面で紹介しています。その中で月間賞に輝いた秀句を掲載します。

2021年1月

NEW
凜と髪結い新年の顔作る        三浦 紀子
 【評】新年の顔は、たとえ一カ月間でもいい、美容院のあとだけでもいい。力強い語句が光る。
運鈍(うんどん)があって肝心根(こん)がなし     伊藤みつ子
 【評】幸運と愚直さはあっても根気が無いと嘆く句。完璧を求めず六十五点の合格点で良しとしましょう。「あって」と「なし」の呼応がいい。
東京発のみかん箱隅に寄せ        阿部 正一
 【評】コロナ禍の中、人だけでなく物もまた気を使わないといけない時代。残念でならない。
停留所私ひとりのためのバス       片岡登代子
 【評】車社会となって久しく、バスも利用の少ない時間帯が多くなりました。ふと「私のために」と思わざるを得ない心境、わかります。
送られぬ賀状日記に書きこんで       三上タツ子
 【評】賀状を出せなかった心残りを自分だけの日記に書き納め、後(のち)に開いて見てその時の想いに浸るのも自分だけの空間だから出来ることですね。
地図広げ座敷旅行で夢語る        鳥潟  洵
 【評】コロナの現状では地図を広げて世界旅行も出来ますね。夢はどこまでも大きく広がります。座敷旅行とは考えたものです。

2020年12月

トランプが巨体揺らして駄駄捏(こ)ねる 鎌田 邦子
 【評】巨体と怖い顔で子供じみた行動をするトランプ。最後は大人げなく駄々を捏ねて終わり。言葉もリズムも的確。
今日という舞台を終えて日が暮れる   吉田じゅん一
 【評】平凡な一日かと思っても、終わってみると自分には大事な舞台となっていたりする。「日が暮れる」に感慨をこめている。しみじみとした佳句。
母の年越しても技(わざ)は越えられず  櫻庭 と美
 【評】親であると共に人生の先輩。生きるために培って来た技(わざ)はまさに金賞。叶わなくても知恵をいただきましょう。
隆盛の名家も無人枯葉舞う        阿部 正一
 【評】栄華の時代を終えそれでも凛として建っている名家。病葉(わくらば)の舞う寂しい風景が浮かぶ一句。
人の手を借りず意地張る損一つ      伊東 誠子
 【評】テンポよく表現しているところが良い。下の句の「損一つ」の使い方に詩的味わいもある。
コロナ禍も遺影の友はすまし顔      三浦津彌子
 【評】「すまし顔」が意表を突いてユニーク。遺影では愚痴も言えないし笑える日を待ちましょう。

2020年11月

指輪まで外して計る体重計       吉田じゅん一
 【評】秋はついつい食べ過ぎ、体重計に乗るのも怖くて。心境わかります。
この町で咲かせた恋は色褪せず      鎌田 邦子
 【評】夫を愛し地域を愛し消えることのない胸の内をいつまでも大切に。すがすがしい一句。
子の顔も忘れて笑う母愛(いと)し    伊東多喜子
 【評】笑う、微笑むはプラスの感情表現。わかってもらえなくても硬いつぼみが開く様に微笑んでくれたお母さんにありがとうをいいましょう。
アルバムに秘めた初恋色あせず      高林 政輝
 【評】年月を経てアルバムはセピア色に変わってしまったけど、心の中で温めて来た青春の想いはその時のまま鮮明に映し出される一瞬。ときめきを感じる句ですね。
マスクの下私はいつも笑顔です      渡邊 藍子
 【評】笑いの絶えない人、笑顔のすてきな人が、目だけの表情になって寂しい。マスクの下は笑顔、そう思って接しましょう。
人使い慣れた上司の飴と鞭(むち)    鳥潟  洵
 【評】飴をあげて誉めそやす、かと思えば叱咤(しった)する。使われる人の気持ちをみごとに詠んでいます。リズミカルな句。

2020年10月

「歳だから」また口をつく決めぜりふ   虻川志津子
 【評】その場を締めることば、決めぜりふ。この言葉に続ける語は無い。リズムのある句です。
コスモスの揺れのやさしさ何だろう    片岡登代子
 【評】春の桜に対して秋桜。日本人に合っている花の風情。優しさを求めている人がこの花を好むのでしょうか。つい私も。
夢叶い歳すぎて尚一人笑み       長谷部マツ子
 【評】長い間待っていた夢が現実になった瞬間。何歳になっても待っていて良かったと思います。一人でこっそり微笑んでいる場面が想像出来ます。
明日嫁ぐ娘と背中流し合う        三浦 紀子
 【評】嫁ぐ娘との最後の場面。お互いに何を考えながらお風呂での一時(ひととき)をすごしたのでしょう。何となく涙をさそう様な一句ですね。
五十年二人を寄せた通り雨        鳥潟 蓮子
 【評】いつもなら恨めしい通り雨。なんと幸運な出会い雨、羨ましい限りである。
実る秋腹八分目はむずかしい       斎藤いく子
 【評】この時期だれもが感じること。表現が自然で巧み。「むずかしい」に実感がこもる一句。

2020年9月

語り部で七十五年終戦日         山内トミヱ
 【評】幼くして親を亡くした人にとっては、七十年間忘れる日はなかったでしょう。体験者の苦しみ、敗戦を風化させまい。
八十路坂自戒を込めて見る轍(わだち)  千葉 善美
 【評】振り返って、自分の通って来た轍を、しみじみ見ない人は居ないでしょう。「自戒」の語が重く切ない。潔(いさぎよ)い句。
仕上がりの紅を引かずにマスク掛け    能登谷清恵
 【評】コロナ菌には勝てない主婦の心情に脱帽。残念のひと言。
たのしみが終って箸の洗う音       片岡登代子
 【評】なんとも言い難い充実感とむなしさ、主婦ならではの作品。意味深い下五。
三姉妹昔を語る旅まくら         三浦津彌子
 【評】一晩夜明かしで何を語ったのでしょう。長い長いドラマは財産として三人の心にベールを被ったまま大切に残る事と思います。最高の一時でしたね。
陽が昇る元気であれば明日もある     小林 義克
 【評】昇る朝日に今日一日の無事を願う。明日もこの瞬間に会える様に自分を鼓舞する気迫が感じられます。
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