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ツツガムシ病に注意

奈良医院 院長

奈良正人


 暖かくなり、農作業や山菜採りなど屋外での活動が活発になる季節になりました。この季節は、例年ツツガムシ病の発生が報告される時期でもあり注意が必要です。昭和48年から平成28年までの秋田県のツツガムシ病患者の月別届出数の累計をみると、4月~6月が955件で、特に5月~6月の2カ月に集中しています。
 昭和48年から平成28年までの発症患者さんの居住地区をみると、秋田県平均の約142人に対し、大館北秋地区は396人と県内トップです。感染要因別では、田畑(農作業等)491人、山林(山菜採り等)425人と約7割を占めています。
ツツガムシ病はダニの一種であるツツガムシでリケッチアに感染している個体に刺された時に発病します。症状としては頭痛、発熱から始まり、倦怠感が強く身体に発疹も出てきます。ここで大切なのは、治療しても熱が下がらないからといって、勝手に病院のハシゴをしないことです。通常使われる抗生物質は効果無く熱が下がらなくても、典型的な症状が時間と共に出てくるのが分かると、ツツガムシ病を見逃すことはありません。しかし、途中で紹介状を持たないで転院すると、今までの治療内容や経過が分からず、診断が遅れ生命の危険にさらされる事があるからです。
 ツツガムシ病は、刺されてから熱が出るまで(潜伏期)、約5~14日位の期間があります。症状が出てから治療しても間に合いますが、治療が遅れると命にかかわる病気です。熱が出たり、刺し口に気が付いたりしたら出来るだけ早めに医療機関で診てもらいましょう。現在ツツガムシ病にはテトラサイクリン(ミノマイシン、ビブラマイシン等)という特効薬があり、投薬を開始すると早期に解熱し、症状が改善するなど、早期に治療することで比較的簡単に完治させることが可能な状況にあります。
 予防法としては、山林や野山に出かけるとき長袖にするなど、肌を出さないようにするようにしましょう。帰宅したら衣類を取り替えながら、早期にシャワーを浴びたり、入浴したりして身体を洗うのが最も効果的です。そのような意味でツツガムシ病は怖くない病気と言えます。外出し身体を動かすことは生活習慣病や骨粗鬆症にも効果があると言われております。注意しながらも恐れず野山に出て、外の良い空気を吸い太陽の恵みを受けるようにしましょう。どうぞつつがなくお過ごし下さい。
(北秋田市 平成29年5月12日掲載)

 

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