糖尿病(5) ―糖尿病と認知症―㊦

秋田労災病院 糖尿病・代謝内科

八代 均


8.糖尿病に合併した認知症の管理
 糖尿病患者は非糖尿病患者に比較し見当識、計算および遅延再生(短期記憶)が悪いといわれている。HbA1cが7・0%以上の高血糖が
持続すると認知症の危険度が4・8倍高くなり、血糖コントロールの改善により注意力および記銘力が改善する。重症な低血糖があると2・4
倍リスクが高くなる。血糖変動幅が大きいとMMSEは低く、血糖変動幅の改善によりMMSEの低下が抑制される。高齢者糖尿病の治療向上
のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会が認知機能と身体機能を含めた高齢者の血糖コントロール目標が平成28年5月に表の
ように設定した。認知機能、ADL(日常生活動作)、手段的ADLおよび併存疾患や機能障害によりカテゴリーⅠ、ⅡおよびⅢに分類し、治
療薬で重症低血糖が危惧される薬剤のあり・なしで年齢を考慮し目標HbA1c値を設定している。高齢者糖尿病の日常診療で表を参考に患者
個々人の状態により進めて行くべきである。
9.秋田労災病院内科外来における認知症診療
 認知症は糖尿病の合併症であるから糖尿病日常診療で診断、治療および管理する必要がある。秋田労災病院内科糖尿病診療で以下の通り認知
症診療を行っている。糖尿病の患者が本人あるいは家族から物忘れの訴えがあり外来受診となったとき、認知機能に関する詳細な病歴を聴取し
、認知症の疑いがあったなら、まずミニメンタルステート検査(MMSE)および長谷川式簡易知能評価スケール(HDS―R)による認知機
能評価を行う。それで認知症が疑われたなら一般検査、甲状腺機能検査、頭部CTあるいはMRIを行い5つの認知症の鑑別を行う。頭部MR
Iで記憶に関係する海馬の萎縮状態を観察、またVSRAD(advance)で記憶に関係する部分と脳全体の萎縮度を評価する。認知症が
疑われたならVSRADの結果を新解析ソフト(Advance2)によりアルツハイマー病とレビー小体型認知症の鑑別を行っている。脳血
管認知症の予防目的で、血糖コントロールの改善、低血糖の予防、血圧の管理、脳梗塞(ラクナ梗塞も含む)の予防、禁煙指導、抗血小板薬あ
るいは抗凝固薬の服用などを行っている。
10.アルツハイマー病の予防
 保険診療で認知症予防目的のためアルツハイマー病治療薬を処方できない。以下のことに注意し認知症を予防する。
1)食習慣の改善高インスリン、インスリン抵抗性が認知症と関係があることから、食べ過ぎない、脂肪の多い食事に注意し肥満にならない
ようにする。
2)運動療法軽い~中等度強度の運動が脳を活性化するだけでなくインスリン抵抗性の改善となることから予防に有効であるから積極的に行
う。
3)睡眠Aβは覚醒しているときに増加し、眠っているときに減少するとされている。睡眠障害があるとAβが増加しアルツハイマー病を発
症させるリスクが高くなる。睡眠障害の改善がアルツハイマー病予防になり、また昼寝も予防に効果的である。昼寝は30分程度で充分である

4)コミュニケーション自宅あるいは自分の部屋に閉じこもっているのでなく、家族あるいは他人とコミュニケーションをとり、日常生活を
活動的にすることがアルツハイマー病の予防となる。
次回、糖尿病(6)糖尿病と骨粗鬆症
(大館市 平成28年12月23日掲載)

 

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