スポーツと貧血

奈良医院 院長
日体協公認スポーツドクター
奈良正人

 スポーツ選手の中で貧血は割と高い頻度で見られるように思います。特に陸上、剣道、バスケットボール、バレーボールでは、ジャンプやランニング動作で足底に強い力がかかったときに、赤血球が壊れることから貧血になり易い種目です。血液の中で酸素や栄養の運びやとしての仕事をしているのが赤血球内にあるHb(ヘモグロビン)です。Hbはタンパク質と鉄分から造られますが、汗をかくと鉄分が出て行きやすいため、汗をかくことの多いスポーツでは鉄分不足になりがちです。貧血とは赤血球やHbが少ない状態を言うのですが、スポーツ選手に見られる貧血は殆どが鉄欠乏性貧血です。スポーツの現場では貧血があると持久力が落ちるので、長距離ランナーやクロスカントリー等では致命的です。鉄欠乏性貧血では、鉄分を多く摂取する必要がありますが、小中学校の学校給食では、期待できません。年齢的に必要な鉄分は摂取できますが、多くとる必要がある選手には不足です。そのため、給食以外で配慮が必要ですが、特殊な例以外は、学校現場での補食を禁止したまま、遅くまでトレーニングしているのが現状です。そこで家庭での食事が重要なのですが、好き嫌いをしていては貧血も改善しないままになってしまいます。加えて栄養状態の悪化とオーバートレーニングは疲労骨折や無月経など、将来に影響する深刻な事態をまねきかねません。スポーツ指導者は常に選手の体調管理と将来に責任を持って対応し指導すべきと思います。

 貧血は病的状態なので、トレーニング時間を割いて医療機関を受診させ、しっかり治療しながら競技力を上げている例もありますが、指導者や親の理解が得られず、必要な治療が出来ない例も多く見られます。大会では選手の能力を最大限に生かせず気の毒な結果に終わってしまっています。中には小学生時代から貧血の管理を定期的に行い、必要な時は鉄剤の服用や注射を行い、トップクラスの成績を出し続け、インターハイ~国体~世界選手権~オリンピックで活躍している選手もおります。日本陸連や全日本スキー連盟では持久力アップのため、空気の薄い標高の高い所でトレーニングを行うことがありますが、血清鉄が低い選手は最初から参加が拒否されます。空気の薄い高地で練習していると、赤血球やHbが増え持久力がアップしますが、原料の血清鉄が低いとHbも増えずトレーニング効果が期待できないのが、解っているからです。持久力を必要とする種目の選手は、好き嫌いをせず食事をしっかり摂取し貧血の管理を行い、必要に応じ治療をしっかりし、記録アップを目指してほしいものです。
(北秋田市 平成27年4月3日掲載)
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