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糖尿病(1)-糖尿病はどういう病気か-㊦

秋田労災病院
糖尿病・代謝内科
八代均

4、なぜ糖尿病になるのか 糖尿病は肥満、過食、ストレス、加齢、運動不足および遺伝因子によりインスリン分泌障害およびインスリン抵抗性となりインスリン作用不足を引き起こし高血糖となり発症する。また高血糖そのものがインスリン分泌障害およびインスリン抵抗性をさらに悪化させ、それをブドウ糖毒性といい悪循環を形成することになる。インスリン分泌障害に、インスリン分泌量の減少とインスリン分泌のタイミングが遅いことの二つがある。日本人は遺伝的に膵臓の機能が弱く欧米人に比較し糖尿病になりやすい体質である。

5、糖尿病の症状および合併症 糖尿病は初期に無症状であるが高血糖が持続すると口渇、多飲および多尿などの自覚症状が出現する。高血糖のままに放置していると次第に全身の障害、合併症が出現するようになる。糖尿病合併症に細小血管障害および大血管障害がある。細小血管障害に眼の網膜症、腎症および神経障害があり、大血管障害に心疾患、脳血管障害および下肢の血管障害がある。細小血管障害の原因は糖尿病であるが、大血管障害の原因は糖尿病だけでなく他の原因もあるが糖尿病が悪化させる原因となることから糖尿病の合併症としている。しかし、2010年の「糖尿病治療ガイド」によるとそのほかに足病変、手の病変、歯周病および認知症が糖尿病合併症に追加された。

6、糖尿病の診断 糖尿病の診断は日本糖尿病学会の診断基準に従って行っている。それは、空腹時血糖値が126mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上、糖負荷試験2時間血糖値が200mg/dL以上あるいはHbA1cが6・5%以上のいずれかが認められた場合に糖尿病型とし、別の日に反復検査を行い再度糖尿病型が確認されたなら糖尿病と診断する。ただし、HbA1cのみの再検査で糖尿病と診断しない。しかし、HbA1c以外で糖尿病型を示し糖尿病の典型的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)あるいは確実な糖尿病網膜症があれば糖尿病と診断する。

7、糖尿病の病型分類 糖尿病は1型糖尿病、2型糖尿病、その他の特定の機序、疾患によるものおよび妊娠糖尿病の4つに分類される。1型糖尿病および2型糖尿病の特徴は表2の通りである。その他の糖尿病は遺伝子異常、膵臓病(膵炎、膵臓がんなど)、内分泌疾患(ホルモンの病気)、肝臓病(肝炎など)、薬剤や化学物質あるいは感染症などが原因で起こる糖尿病である。妊娠糖尿病は妊娠中に初めて発見または発症した、糖尿病に至っていない糖代謝異常である。

8、糖尿病の治療と目標値 糖尿病治療の目標は糖尿病性合併症を予防し、健常人と変わらない生活の質と寿命を維持することにある。治療法は、食事療法、運動療法および薬物療法がある。食事療法と運動療法が基本でそれで改善がみられない時に薬物療法を行っていたが、最近は早期に薬物療法を開始している。日常診療は空腹時血糖値、食後血糖値およびHbA1cを測定し、日本糖尿病学会から提案されてある「血糖コントロールの指標と評価」(表3)を基に進めている。空腹時血糖値と食後血糖値を同じ日に測定することができないが、どちらも重要なデータである。食後高血糖が動脈硬化を促進することから食後血糖値を測定するのがより有用である。

9、おわりに 血糖が上がり易い体質の人と上がらない体質の人がいて2型糖尿病は血糖が上がり易い体質である。背の低い人と高い人がいるが、それはその人に備わった体質である。大人になって自分はもう何センチ背が伸びたいと思っても思い通りにならない。糖尿病の体質も同様である。背の高い人が良く背の低い人が悪いことはないが、背の高い人は高いところに手が届く便利さがある。しかし、背の低い人ははしごを利用すれば高いところに手が届くことになる。糖尿病患者にとってのはしごが食事療法と運動療法である。

 糖尿病の診療は血糖値およびHbA1cを定期的に測定し血糖コントロール状態を評価している。血糖値とHbA1cはどちらも単純なデータであるが背景に体内の糖代謝に関する様々な反応がありその結果である。血糖値あるいはHbA1cが同じでも患者個々人の状態はすべて異なる。患者の年齢、性、生活スタイル、職業、家族、環境および性格も体内の糖代謝反応に影響を及ぼす。糖尿病診療は患者の生き方を考慮しながら進めなければならず、患者の人生を診ていることになる。

次回は糖尿(2)―糖尿病の合併症
(大館市 平成27年6月5日掲載)
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