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最近の予防接種事情~上手な予防接種の受け方~

梅内小児科クリニック
院長
梅内孝倫


  明日11月28日午後2時より、大館市立中央公民館にて「地域の医療を考える集い」が開催されます。テーマは「今日の小児医療を取り巻く問題~子と孫にすこやかで安心な環境を~」となり、私も「最近の予防接種事情」という演題で講演させていただきます。皆さまのご来場をお待ちしております。

 今日は、明日の講演に先立って、さわりの部分を書かせていただきます。

 現在多くの予防接種が、みなさんのお子さんを感染症から守るため行われています。定期接種としては四種混合(百日咳、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ)、BCG、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型(ヒブ)、MR(麻疹、風疹混合)、水痘、日本脳炎、DT(ジフテリア、破傷風)ワクチンなどで、任意接種としてはおたふくかぜ、インフルエンザ、ロタウィルス、B型肝炎ワクチンなどがあります。

 定期接種だけでも1歳までに接種回数の合計は10回で、当院にて最近任意接種で受ける赤ちゃんが増えたロタウィルス(2回と3回接種のものがある)、B型肝炎ワクチンを含めると15回~16回ものワクチンを受けることになります。前は四種混合ではなく、三種混合(百日咳、ジフテリア、破傷風)と不活化ポリオワクチンと分かれていましたのでもっと多かったことになります。これは2013年に肺炎球菌、ヒブワクチンが定期接種に導入されたころから増えてきました。以前1歳までは三種混合、BCG、ポリオ(経口の生ワクチン)と併せて6回でしたので、2~3倍に増えたことになります。そんなにワクチンを打つのって赤ちゃん大変だなと思うかもしれません。しかし実はそれだけ病気に罹らずに済むようになったのです。しっかりと効果も上がってきており、例えば厚生労働科学研究事業の報告で、肺炎球菌では5歳未満の髄膜炎など重症な感染症の罹患率は、導入前の2008~2010年には5歳未満の人口10万当たり25から2014年には10・3、インフルエンザ菌bでは12・8から0となり、ともに大変有効な結果が出ています。

 でも予防接種のために何度も医療機関を受診するのは大変だなと思う方もいるかもしれません。これまで通常1日に1回のワクチン接種が行われてきましたので、そう思うのも無理はありません。しかし受ける予防接種が増えたあたりから一度に複数のワクチンを同時に接種するやり方(同時接種)が勧められています。接種するワクチンの種類や数は問題ありません。そのようにワクチンを接種しても、その効果も各々単独で接種した場合と変わりなく、副反応も強くなることはありません。これは長年世界中で行われているやり方で、その効果や安全性は確立しています。予防接種にはそれぞれ有効な接種期間が設けてありますので、なるべくその期間を逃さずに接種することが大切です。したがってぜひこの同時接種を理解していただき(日本小児科学会ホームページにも同時接種に対する考え方が記載されています)、特に1歳前の数多くの予防接種を受けのがすことのないよう行ってもらえればと思います。またお子さんが生まれてからの同時接種で行う予防接種のスケジュールは、日本小児科学会やNPO法人VPDを知って子供を守ろうの会などより公表されていますのでそれを参考にしていただければと思います。1歳を過ぎてからもMR、水痘、おたふくかぜワクチンや四種混合、肺炎球菌、ヒブワクチンの追加接種、日本脳炎、インフルエンザワクチンなども同様に同時接種で対応して上手に受けてもらいたいと思います。

 小児科医の私としては、これまでワクチンのある病気に罹って大変重篤な状態になったお子さんを経験してきておりますので、そのようなことにならないようになるべくワクチンで防げる病気はしっかり接種してお子さんを守っていただきたいと願います。
(大館市 平成27年11月27日掲載)
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