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食物アレルギーと給食-エピペンの使い方-

大館市立総合病院小児科部長
丹代諭
 
【第40回地域の医療を考える集い 大館北秋田の医師4人の講話から②
 
  一言で食物アレルギーといいましても、いろいろな種類があります。命に関わる即時型反応、一見アレルギーのようにみえる仮性アレルゲンによるもの、運動によって誘発されるもの、アトピー性皮膚炎と関連するものなどです。食物アレルギーをもつ児童は年々増加しており、2013年には約45万人といわれています。0歳児が最も多く、乳児の10%、幼児の4?5%、学童の2?3%が罹患しています。原因食物としては、鶏卵、牛乳、小麦が3大アレルゲンといわれており、年長になると、エビ、カニ、ソバなどが増えてきます。食べても大丈夫になることを耐性化といいますが、鶏卵は4歳までに、牛乳は3歳までに耐性化するといわれています。成人発症の小麦やピーナッツ、ソバ、ごま、エビなどは耐性化しにくいようです。
食物アレルギーの発症機序ですが、今までは食べると発症するという考えから離乳食開始を遅らせたりしていましたが、最近は食物が皮膚から入ることでアレルギーを悪化させ、食べることはむしろアレルギーを防ぐという二重抗原曝露仮説が提唱されています。少し前に問題になった石鹸による小麦アレルギーがまさにその証拠だといわれています。アレルギーの診断はRASTという検査がよくおこなわれますが、気を付けていただきたいのは、検査で反応がでることと、実際に食べることができないことは必ずしも一致しないということです。今まで食べても何も症状がない人が、検査が陽性だからといって食物制限をする必要はありません。むしろ過度の食物制限により、栄養の偏りでビタミン不足などになることがありますので、医師と十分相談して必要最低限の食物制限をお願いしたいと思います。食べられるようになったかどうかは食物経口負荷試験でわかりますので、可能な医療施設に相談していただければよろしいと思います。アレルギーの全身反応をアナフィラキシーと呼びますが、命に関わる状態になりますのでエピペンの携帯が必要になります。医師と相談の上処方してもらってください。
(大館市 平成28年3月4日掲載)
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