こどもが病気になったら-診察にはメモを持って-

北秋田市民病院
副院長・小児科診療部長 野口博生
 
【第40回地域の医療を考える集い 大館北秋田の医師4人の講話から③
 
  子供さんが熱を出したり、吐いたりして具合が悪くなったときにはかかりつけのお医者さんに診てもらいますね。でも場合によっては大きな病院に行ったり、皮膚科や耳鼻科の先生に行くこともあるかと思います。短い期間のことなら内容も限られますが、2週間以上の経緯を要領よく話すことは難しいことです。

 病院を受診するときはメモを持っていきましょう。皆さんは中学生の時に新聞記事の書き方の授業で5W1Hというのを習いませんでしたか?①いつ②どこで③だれが④なにを⑤なぜ⑥どんなふうに、と情報を整理すると相手にわかりやすくよく伝わるというものです。「①昨日の午後に②保育園で③うちの娘が④38・9度の発熱があったので早退した。⑥3日前から鼻水が出ていて、昨日は夜中も咳が3、4回続いて白っぽい痰が出たので寝つきづらかった。⑤インフルエンザもはやっているし、心配している。」といった感じです。診察の時にこんなに順序立てて話すことなんか、中々できませんよね。特にお孫さんを預けられて受診したおじいさんおばあさんが、「外孫だからよくわからないが、今朝、娘が『熱が出たので代わりに病院に連れていってちょうだい』と、おいて行かれた」と嘆かれている時があります。そういう時には「次には簡単でいいから親御さんにお手紙を書いてもらってください。」とお願いしています。口で言うのは難しいですが、短い文章でも書くことで大切な情報が得られます。なにより「座薬もください」などの「一番心配なこと」がはっきりします。

 どこの病院の何科の医師に診察してもらうのかも選ばなくてはいけません。一番良いのはかかりつけ医に適切な病院や医師を紹介してもらうことです。紹介状は大学病院などを受診するときには必要なものですし、経緯や検査所見などの資料も一緒に添付されて大切な情報となります。患者さん自身の作るメモと一緒に見ることで、正しい診断と診療に役立ちます。

 専門医について少し述べます。医師は初期研修として救急医療に携わるためにすべての医療についてひとわたりの知識と研修を受けています。一方で10年程度のキャリアがあれば、興味のある分野の専門医を持っています。例えば小児科専門医であれば子どもの癌や心臓病、未熟児や新生児の入院治療の研修と経験を積んでいます。専門医試験を受けたうえで毎年、数十回の子供の病気に関する講演会に出席して資格を更新しています。子供の総合医として発熱はもちろん鼻水や咳、嘔吐や下痢、皮膚炎や言葉や成長の遅れ、予防接種やいじめの相談、子供に関することはすべて勉強を続けているのが小児科専門医です。加えて小児腎臓病、小児白血病や小児癌、先天性心臓病などの得意な分野があり、どこに適切な医師がいるかの情報を持っているのも小児科専門医です。

 医療の技術や知識はどんどん変わっています。どこのお医者さんも自分の興味がある分野はよく勉強していますが、その他についてはかたよりが出るのはいたしかたない処です。「専門がある良い医者」というのは自分の限界を承知していることでもあるのです。こういった事情を踏まえて上手に病院をご利用ください。それではお大事に。
(大館市 平成28年3月11日掲載)
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