毎週金曜日本紙掲載・協力:大館市北秋田郡医師会

肝炎治療の最前線
C型肝炎の治療
小松内科胃腸科医院 小松良彦

 C型慢性肝炎は、ゆっくりではあっても、肝の線維化が進んで肝硬変となります。その進行を止め線維化を改善して、肝がんの発症リスクを減らす最良の方法は、C型肝炎ウイルス(HCV)を排除することです。HCVの陰性化を可能にするのは、抗ウイルス療法しかありません。
 わが国では、1992年にC型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)療法が保険で認可され、多くの患者にIFN治療が導入されております。IFNは、もともと体内でつくられる蛋白質で、ウイルスの増殖をおさえる働きがあります。IFNによってHCVの陰性化を図るわけですが、ウイルスの型や量によってその効果も違ってきます。日本では遺伝子型が1型と2型がほとんど、さらに1型は1a(日本ではまれ)、1b(約70%)、2型は2a(約20%)、2b(約10%)に分けられます。2aや2b、そしてウイルス量の少ないタイプは治療の効果が現れやすく、日本人に最も多い1b、高ウイルス量タイプは治りにくいとされ、わずか5%のHCV排除率でした。しかし、現在では改良型のIFNである「ペグインターフェロン」と抗ウイルス薬の「リバビリン」を併用する治療法で約半数の人がHCVを完全に排除することが可能となっております。
1・抗ウイルス療法の適応
 種々の要因を検討して決めます。肝炎の活動性が高く(血清ALTの上昇)、肝線維化の進行が懸念される症例にIFN療法が必要です。次にウイルス量、遺伝子型、年齢、合併症の有無なども考慮します。
2・抗ウイルス療法の効果
 低ウイルス量で遺伝子型2a、2b、1bタイプに対するIFNあるいはペグ・IFN療法のHCV陰性化率は約80〜90%です。投与方法はIFNを8〜24週間、またはペグ・IFNを24〜48週間単独で治療いたします。高ウイルス量の1bタイプの難治例に対するペグ・IFN(週1回の注射)とリバビリン(1日2回内服)併用療法(48週)で、約50%のHCV陰性率です。それ以外のタイプの症例ではペグ・IFNとリバビリン併用によって約90%となり、C型慢性肝炎の約70〜80%が抗ウイルス療法によりHCVを排除できる時代をむかえています。
3・抗ウイルス療法の選択
 平成17年末に高ウイルス量で遺伝子2型、および再治療例にペグ・IFN・リバビリン併用治療法(24週)が保険適用となっています。高ウイルス量・1型症例に対しては、初回であれ再治療でペグ・IFN・リバビリン療法(48週)を行います。しかし24週目までHCV―RNAが陰性化しない場合は完治できませんでしたが、IFNを通常の半分程度にして長期間投与します。
4・肝炎沈静化を目指した抗ウイルス療法
 難治例でペグ・IFN・リバビリン療法の適応がない症例、あるいは本治療法中に貧血、皮疹、全身倦怠感など出現した場合には、少量長期療法が可能なこともあります。そして、ある程度の肝炎の進展抑制が期待されます。
5・高齢者難治症例に対する抗ウイルス療法
 病期の進展のため貧血や血小板減少が見られる場合、IFNの投与期間を短くしたり、副作用の少ないタイプ(従来のIFN)を少量間欠投与したりします。
6・抗ウイルス療養の今後の展望
 ALT正常者でも肝線維化が進展していることもあり、抗ウイルス療法の適応も検討すべきといえます。肝硬変に対するIFN―βが認可申請中です。
7・抗ウイルス療法以外の治療
 IFN治療が行えない症例に対して、肝炎の沈静化、肝線維化を遅らせる治療があります。ウルソデオキシコール酸(UDCA)やグリチルリチン製剤は内服薬であり、強力ミノファーゲンシー(SNMC)は注射薬です。また、C型慢性肝炎では肝細胞に過剰な鉄の沈着があることから、瀉血療法でALT低下がみられます。
8・無効例での肝がん発生
 IFN治療を受けるもウイルスが排除されない場合でも、未治療群に比べて肝がんの発生率が下がることがわかっております。
9・期待される新しい治療
 日本では、2006年10月現在、より半減期の長いペク・IFNとリバビリン併用療法が承認申請中です。欧米では「プロテアーゼ阻害薬」の開発が進められております。    (大館市 平成19年5月25日掲載)

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