毎週金曜日本紙掲載・協力:大館市北秋田郡医師会

肝炎治療の最前線
|C型肝炎の診断
小松内科胃腸科医院
小松良彦

 肝がんによる死亡者数は年々増えており、その主な原因となっているのがC型肝炎とB型肝炎です。しかし、ここ十数年でその治療法は大きく進歩し、完治をめざしたり、肝がんへの進行を防ぐことも可能となってきました。現在、日本では1年に約4万2000人が肝がん(90%以上は肝炎ウイルスによるもの)で亡くなっており、その数はこの20年間で約2倍に増えています。わけてもC型肝炎ウイルス(HCV)は、肝がんの発生原因の70〜80%を占めるにいたっております。HCV感染者は150万〜200万人(50歳以上が70%)いるといわれ、そのうち160万人が肝機能異常があり(慢性肝炎が130万人、肝硬変が30万人)、40万人が健常キャリアーです。C型肝炎は放置しておくと、その多くが気づかないうちに、肝硬変や肝がんへと進行してゆく病気です。早期発見の重要性はいうまでもありません。
1 感染経路
 HCVは血液を介して感染します。輸血や注射、血液製剤の投与による感染者がほとんどです。現在はこれらの原因による感染は激減しています。新たな原因としては覚せい剤の回し打ちや、入れ墨、ピアスの穴開け、医療現場での針刺し事故(2%の感染率)があります。
2 C型肝炎の自然経過
 HCVに感染すると、70〜80%の人でウイルスが排除されずに慢性化し、肝硬変、肝がんへ進行します。C型肝炎から肝がんが発生する割合は、女性より男性の方が高く、高齢になってから感染した人ほど危険性は高く、多量の飲酒、肥満、糖尿病のある場合、進行が早く治りにくくなります。
3 早期発見のための検査
 HCVに感染すると、免疫の働きでHCVに対する抗体(HCV抗体)がつくられます。血液検査でその有無を調べると感染しているかどうかがわかります。この検査は、保健所や一部の企業での健康診断のほか、市区町村の行う基本健康診査で行われています。節目検診は40齢、45齢、50齢、55齢、60齢、65齢、70齢の人が対象です。節目外検診は、肝機能異常のある人、手術を受けた人、出産時に多量に出血した人が対象となります。
 HCV抗体が陽性だと感染の可能性が高く、陰性だと感染してないと判断されます。ただし、陽性でも抗体量が少ない場合は、過去に感染したが現在は治癒している可能性もあります。そこで、HCV抗体が陽性の場合は、感染の有無を確認するために、HCV―RNA定性検査を受けウイルスの有無を調べます。陽性なら感染しているとされます。
4 母子感染
 妊婦でHCV抗体が陽性であるのは0・6%位といわれてますが、予定帝王切開で児の感染率はきわめて低いとされます。母乳への移行も普通はみられません。
 診断のプロセスについては、フローチャートをご参照下さい。次回は治療について述べてみます。
     (大館市 平成19年5月18日掲載)

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