毎週金曜日本紙掲載・協力:大館市北秋田郡医師会

健康願望症候群
奈良医院 奈良 正人

 誰でも健康で長生きしたいと思うのは当たり前のことですが、健康を願う余り異常な行動をしているのを見ることがあるのも事実です。
 生活習慣病等で通院している患者さんにそろそろお薬を服用した方がよい状態です、と説明したところ、なるべく薬は飲みたくない、一生飲み続けたり、薬漬けになるのはイヤと拒否された例がありました。ところが本人は身体が心配だからと健康食品、サプリメント、通信販売の薬(?)など沢山飲んで薬漬けになっているという例もありました。
 身体に良いと言われ、高価な布団やブレスレット、さらには保険が適応されている1日10〜100円位の薬剤を、一瓶何万円という実に50〜100倍の値段のを自費で買い求め、服用している例もありました。医療機関からもらうと1〜3割負担で手に入るのにと思うと、一言相談してくれれば良いのにと思ってしまいます。
 たまに相談されることもありますが、そのほとんどは磁石の入った布団を50万円で買ったけどとか、漢方薬1カ月分2万円で買ったけどなど、出費した後での相談でした。買う前に相談してくれたら良いのにと思います。
 特に知り合いから勧められたため、断りにくい例もあるようです。自分にとって良いことが他人にも良いとは言えないのです。「小さな親切余計なお世話」というものです。また、健康食品、サプリメント、市服薬等での副作用も報告されています。
 テレビ等で○○は身体に良いなどと放送されると、お店の商品棚から消えるほど売れるという日本の現状は、異常なことだと思います。タバコ等健康に悪いとはっきりわかっているものを止めないで、マスコミでの情報に振りまわされている人の考え方は理解できません。
 健康のためなら何でもやろうと入れ込んでいる人も多く、「健康のためなら死んでも良い」などと思っているのではないかと疑ってしまいます。まさに「健康願望症候群」という立派な病気です。人間にとって健康を気にするよりも、良い人生であるために、何をやりたいのか、何を楽しみたいのか、死ぬ時良い人生であったと言えるよう、自分の希望する生き方を自由にすべきと思います。
 一部肉体的に良くない事であっても、精神面も含めトータルで健康につながり楽しい人生であれば良いと考えるべきです。好きなものを我慢して、食べないで、飲まないで、遊ばないで送る人生は、果たして良い人生と言えるのでしょうか。
 一度限りの人生です。好き勝手に楽しく生きるべきです。好き勝手な楽しい人生を送るには、健康でないとできないのも事実です。この問題の解決に、かかりつけのドクターが手助けしてくれるはずです。(北秋田市)
〈協力・大館市北秋田郡医師会http://www.daihoku−med.jp/
(平成17年12月30日掲載)

インデックスお茶の間クリニック トップへ