毎週金曜日本紙掲載・協力:大館市北秋田郡医師会

糖尿病と目…「網膜症」の話
小池眼科 小池信宏

 糖尿病は、からだのエネルギー源となる血液中のブドウ糖が何らかの原因で過剰となった状態です(高血糖)。血糖が高いと血液に粘り気が生じ、やがてからだの中の細い血管の壁がもろくなります。その結果、目や腎臓をはじめ、全身のいたるところが障害される病気です。糖尿病はいわば血管の病気ともいえます。糖尿病になるといろいろな合併症を起こしますが、その中のひとつに網膜症があります。現在、日本では成人が失明する原因の第1位が糖尿病による網膜症です。糖尿病は年々増加しており、現在では40歳以降の10人に1人が糖尿病にかかっていると推測されています。糖尿病の増加に伴って、合併症である網膜症も増え続けているのです。
 目をカメラにたとえると、網膜はフィルムに相当する部分です。網膜には光を感じる細胞がたくさん集まっていて、この細胞に栄養や酸素を運ぶための細い血管が縦横に走っています。糖尿病になると、この血管がつまりやすくなります。その結果網膜が栄養不足になり、酸欠状態となるために血管がさらにもろくなり、最終的には血管自体が破れることで網膜に悪影響を及ぼすのです。
 ただ糖尿病にかかってすぐに網膜症になるとは限りません。およそ10年後に1/4の人が、そして15年後にはおよそ半数の人が網膜症になるといわれています。網膜症の困ったところは、病気は進行しているのに目の痛み、視力障害などの自覚症状などが、かなり重症になってからでないと現れないことです。そのため病気が発見されるのが遅れ、ある日突然眼底に大出血や網膜剥離を起こして、失明の危機にさらされることになります。
 網膜症を予防するには血糖のコントロールが大切です。したがって内科と眼科の連携が非常に重要になってきます。糖尿病といわれたら、医師の指導のもとで適切な食事や運動を行うとともに、必要に応じて内服やインスリン注射を行って血糖値を上手にコントロールしてください。そして眼科専門医で検査を受けてください。眼科を受診して異常がなくても糖尿病とのつき合いは生涯続きますので、それ以後は年に1度くらいは検診を受けてください。ただし、血糖値のコントロールがうまくいっていない人や、糖尿病による神経障害や腎症などの合併症がある人は網膜症を合併する率も高くなるので、検診の回数をもっと増やす必要があります。また、もし次のような症状が起きた時には、網膜症が進行していることも考えられます。
 1.物がゆがんで見えたり、ぼやけて見えたりする
 2.目の前に糸くずや虫のようなものが飛んで見える
 3.突然、視野が真っ赤になった
 4.視野が欠けて見えないところがある
 網膜症の進行を防ぐためには、できるだけ早期の発見と治療が必要です。自覚症状がなくても糖尿病といわれたら、必ず一度は眼科で検査を受けることをおすすめします。
      (大館市)
〈協力・大館市北秋田郡医師会http://www.daihoku−med.jp/〉
(平成17年10月21日掲載)

インデックスお茶の間クリニック トップへ