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「尿に血が混じる」といわれたら
佐々木内科医院
佐々木 隆幸
検診を受けた後で、「尿潜血陽性、再検または精査してください」という通知をもらった方は多いのではないでしょうか。尿に糖が出れば糖尿病かな?とわかりやすいのですが、潜血は意外と見過ごされていることが多いようです。
ではいったい、尿潜血とはなんなのでしょう。尿に血が混じる状態は大きく肉眼的血尿(尿が赤く見える)と顕微鏡的血尿(試験紙や顕微鏡でわかる)にわけられます。これは程度の違いです。後者は尿潜血といい、濃さによって±〜3+と表します。0・1%つまり1リットルの尿に1ヨ以上の血液が混ざれば目に見えるようになります。よほどでなければ貧血になる量ではありません。まれに溶血(血液が壊れて排出される)やミオグロビン尿(筋肉がたくさん壊れて出る)でも陽性に出ます。これらは血液検査や、顕微鏡で尿(沈渣)を再検すれば区別できます。逆にビタミンCを飲んでいると試験紙では陰性に出る(検査で引っ掛からない)ことがあります。
わかりやすく言えば腎臓から膀胱を経て尿道まで、尿の通り道のどこかで血が出ている可能性があるということです。まれに全身的な原因で血が出やすい状態(出血傾向)もありますが、比較的多いのは炎症(細菌などの感染)によるもので、膀胱炎・前立腺炎・尿道炎・腎盂腎炎(まれに腎結核)などです。これらは尿が近い、あるいは出にくい、排尿後の痛み、尿が濁る、腰背部痛、発熱などの症状を伴うことが多いのである意味診断しやすいものです。
また、どこかに結石がある場合も傷を付けて血が出ます。場所によって腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石になりますが、部位によっては必ずしも痛みを伴わない場合もあります。嚢胞腎(のうほうという袋がある)や遊走腎(体位で腎臓が大きく上下する)が見つかることもあります。急性・慢性腎炎やIgA腎症などという内科的な病気での潜血は、蛋白尿を伴うことが多く、沢山の病名がありますが、要は徐々に腎機能が悪化するものを見逃さないことです。そのため血液検査のほか、腎生検(針を刺して組織を調べる)が必要になることもあります。
中年以降で注意が必要なのはやはり癌です。腎癌・膀胱癌・前立腺癌・尿管癌など。頻度はさほど高くはありませんが、見逃すわけにはいきません。これらも自覚症状を伴わない(無症候性血尿)ことも多く、鑑別のためには尿細胞診(悪性細胞を見つける)、腎盂造影、エコー、CT、膀胱鏡、腫瘍マーカー(前立腺癌のPSA)などの検査があります。ただしすべての人にこれらを行う必要はなく、症状・尿所見・年齢などで絞り込みます。内科を経て泌尿器科に紹介される場合が多いようです。高齢の女性では婦人科の病気から混入することもあります。
問題ない場合が多い尿潜血ですがこのように隠された悪性疾患を見逃さないように、健診を続けることと、一度は精査することが「せんけつ」です。
(大館市)
〈協力・大館市北秋田郡医師会〉
(平成17年6月3日掲載)
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