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ツツガムシ病の季節ですよ
高橋彰彦内科医院 高橋 彰彦
TVの天気予報にサクラ前線のニュースが流れています。しかし、私の耳には「ツツガムシ病の季節がやって参りました」と聞こえるのです。平均気温が10度を超えるとツツガムシの活動が活発になると考えられているので、当地方ではサクラ前線の北上と連動してツツガムシ病が発生すると考えてもよいのです。
ところで、日本全体の集計によれば、1月中にすでに16件もツツガムシ病の届出がなされております。もちろん九州・四国方面からの症例なのですが、これは「タテツツガムシ」という種類による発症です。秋田県としては、大曲の花火大会に前後して県南で活動するのが、真夏型の「アカツツガムシ」。そして、県北一帯から青森方面で私達を悩ませているのは「フトゲツツガムシ」。日本全体でみると、生活史の異なる3種類のツツガムシが分布しています。
一口にツツガムシとは言っても、全部の虫が相手構わず噛みついてくるというものではありません。ツツガムシはダニの仲間ですが。その幼虫が成虫になるときに、かならず他の動物の体液(リンパ液)を吸わねばならないので、一生懸命に噛みつく相手を探すのです。もしあなたがツツガムシのいる草むらに腰をおろしていると、ズボンやパンツの繊維の織り目の間を、5−6時間もかかって潜って行って、ようやく皮膚にたどりつくのです。幼虫の大きさは0・2ミリしかないので、たとえ吸い付かれても痛くも痒くもないのですが、放っておくと約1日半チューチューと体液を吸いつづけ、満腹するとポロリと離れてゆくのです。この機会に病原体(リケッチア)をうつすわけですが、病気持ちの幼虫は多くみても200匹に1匹ぐらいの割合しかいないので、ツツガムシ病にかかる人はよほど運の悪い人だということです。そして、成虫になってしまえば、あとは草の露などを吸いながら平和的に過ごすのだそうです。
北秋地方にすむ「フトゲツツガムシ」の場合は、幼虫の生まれるのが9月頃なので、秋になると患者さんが増えはじめ、雪が降るまでに獲物をゲットできなかった落ちこぼれ組が、翌春にがんばって「サクラ咲く」にトライするので、春から初夏にかけて再び患者さんが発生するという次第です。
ツツガムシ病は、処置を誤れば死に至る恐ろしい病気ですが、適切に対処すれば何ということもない病気です。次の要領を心得て、大いにアウト・ドアを楽しみましょう。
秘伝(1)山野に限らず、長い時間芝生に腰をおろすようなことがあったら、帰宅後直ちに下着まで全部着替えて、できればシャワーで流しましょう。秘伝(2)ツツガムシ病は1週間後に発病します。高熱だけが3日続いたらすぐに受診しましょう。秘伝(3)ペニシリンは全く効きません。勝手に抗生物質を使って様子を見ていると手遅れになりますよ。
(平成17年5月13日掲載)
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