毎週金曜日本紙掲載・協力:大館市北秋田郡医師会

小児の中耳炎シリーズ保存版
その2:中耳炎の予防は可能か?

山内耳鼻咽喉科 山内博幸

 「どうしたら中耳炎にならないのか」これは全ての耳鼻科医が求めているかなり究極的な問いといってもいいでしょう。
 実は答えは結構簡単です。「風邪をひかないこと」。風邪の完全予防が可能になった時代には耳鼻科医の90%は失業です。めでたしめでたし。中耳炎の原因が副鼻腔炎(蓄膿症)にあることも多いのですが、その副鼻腔炎も風邪がなければほとんどなくなってしまいます。
 しかしながら集団生活をしている乳幼児の風邪の予防は現実的にはほとんど不可能と言っていいでしょう。いくら空気清浄機をつけても抗菌処理された玩具を導入しても手や顔をきれいに拭いてあげても四六時中有機物を体外に分泌し続ける乳幼児同士のウイルス感染を防ぐことは無理。純粋に公衆衛生学的にみれば集団生活から離してあげるのがいいのですが、だれもが家族の健康を望みながらも生活のためには犠牲を払わなくてはいけないという現実をもっています。「託児所や保育園に預けないこと!」とただ中耳炎以上に耳に痛いだけの理想論をとなえることは解決になりません。
 中耳炎が細菌の感染で起こるのなら抗生物質で予防はできないか? こういう質問があってもよいでしょう。これはそれなりに有効な方法です。それなりというのはこういうことです。私自身がデータをまとめたわけではないのであくまでも感触に過ぎませんが、ある程度年長児でないと効果がないような感じがします。乳児レベルになると抗生物質の予防投与が中耳炎を予防できるという感触はかなり乏しいです。全くないわけではありませんが、風邪をひきやすい乳児にありがちな上気道炎症状の長引きがあると、いくら抗生物質を飲んでいても中耳炎を予防できないというのが私の結論です。ある先生はポンタールという消炎鎮痛剤を通常の使用量よりもかなり少ない量で続けて飲んでいるとよいという結果を出しています。この治療法はまだ一般的な中耳炎予防法としては確立されていませんが期待できる治療法の一つです。
 最近は風邪程度では抗生物質を使わないというのが処方の原則となっているようです。我々耳鼻科医にはかなり抵抗のある原則です。しかしこれはあくまでも原則です。
 過去に中耳炎を何度も起こしているような場合は医師にその旨を告げましょう。抗生物質を処方してもらえると思います。

(平成17年1月14日掲載)

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