毎週金曜日本紙掲載・協力:大館市北秋田郡医師会

小児の中耳炎シリーズ保存版
その1:中耳炎を繰り返す乳幼児の治療

山内耳鼻咽喉科 山内博幸

 急性中耳炎を頻繁に繰り返す子供らがいます。「反復性中耳炎」といいます。以前は冬の病気だと言われていましたが、今は冬以外の季節でも多くなったように思います。多くは保育園などで集団生活をしている0−1歳くらいの子供たち。この子らは常に風邪をひいているような状態であることがほとんどです。中耳炎が長引くと耳の周囲の骨の発育が抑えられます。そうなると中学生以上になっても中耳炎の影響が続くことになります。中耳の骨の発育を悪くしないためにもできるだけ早い時期に中耳炎をコントロールしなくてはいけません。
 できるだけ早い時期に鼓膜切開をして、中耳に溜まった膿や粘液を排泄して中耳をからっぽにして、中耳の壁を十分に空気にさらす「換気」が重要です。昔から中耳炎の治療は「換気」が重視されてきました。鼻から管を入れられて耳に空気を通されたことがある人もいると思いますが、これもこの「換気」を目的にした治療です。中耳炎を起こしたあとしばらくは中耳粘膜はぶよぶよに腫れて湿った状態になっています。そういう状態は細菌感染を起こしやすく再度風邪をひくと簡単に細菌が繁殖してきます。そんな状態から完全に正常な状態に戻るのに約1−数カ月かかるといわれています。なんでそんなに長くかかるのか、それは中耳の形がとても複雑だからです。蜂の巣のように細かい部屋に分かれています。ですからとても乾燥しにくいのです。次の風邪をひく前に十分に中耳を乾燥させてあげれば次の風邪で細菌がつく可能性はかなり減ります。ですからできるだけ短期間に中耳を乾燥させることが大切です。
 中耳炎が治るサイクルよりも短い間隔で風邪を繰り返すと中耳炎は簡単に再発します。そういう子に対してはたとえ風邪をひいていても中耳が常に換気されるように鼓膜にチューブを入れる治療を行います。チューブを留置するとかなりの子が中耳炎を起こさなくなります。おかしい表現ですが「安心して風邪をひくことができる」そういう状態をつくる治療です。風邪をひきにくくなったらチューブを外します。中耳の炎症をいかに短期間にコントロールするかが乳幼児期の中耳炎治療のポイントです。

(平成17年1月7日掲載)

インデックスお茶の間クリニック トップへ