毎週金曜日本紙掲載・協力:大館市北秋田郡医師会

風邪問答あれこれ(6)
土曜日「風邪は万病の元」

高橋彰彦内科医院  高橋 彰彦


 「咳の具合はいかがですか、Kさん」
 「日中はまあまあですが、ゆうべは咳がひどくて寝不足気味です」
 「昼と夜の自律神経の働きが違うので、夜になると咳が強くなるのです。それにしても、暗くなると出る、ウトウトしていると出る、熟睡していると出ない…ということになると、お化けや幽霊と同じですよね。咳とお化けは夜出てくると覚えてください」
 「ハハア、そんなもんですか」
 「ところで、予定としては今日あたりで風邪ビールスは退散して、あとは置土産の鼻水、咳、痰などが消えてゆくのを待つということになります」
 「やれやれ、大した風邪でなくて良かったです。風邪は万病の元といいますからね」
 「それも大切な教えですが、万病は風邪に似ると、私は逆に考えているんですよ。この世の中、本当の悪玉は人目につかない所で悪事を働くといえば、Kさんならピンとくるでしょう」
 「全くです。騒ぐ奴ほど大したことがない」
 「そう。病気も同じことで、体の奥深くで暴れる恐ろしい病気ほど、見掛けは静かで高熱だけということが多いのです。急性肺炎、急性肝炎、急性腎盂炎、そして粟粒結核、腸チフス、ツツガムシ病などの伝染病、更に恐ろしいあの急性白血病などなど。熱だけだからと油断したり我慢したりしていると命取りになる病気がズラリと待ち伏せています」
 「命を守るコツを教えてください」
 「鼻水も咳も出ない、下痢も腹痛もないままに、三十八度以上の熱だけで三日目になったら、直ちに受診していただきたいのです。そして胸部レントゲン写真、尿検査、白血球数の三点セット検査を受けて、手遅れにならないように治療を始めてもらいたいのです」
 「囲碁仲間にも教えておきましょう。今週はタップリと勉強させてもらいました」
 「ぜひ皆さんに教えてあげてください。お大事に、Kさん」

(平成16年9月10日掲載)

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