毎週金曜日本紙掲載・協力:大館市北秋田郡医師会

肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)のすすめ

たむら内科クリニック 田村豊一


 近年、高齢者の増加により、感染症、特に肺炎で亡くなる方が増えてきています。わが国の死因別の死亡率をみても、トップが悪性新生物すなわち癌で、次に心疾患、脳血管疾患で、4位が肺炎となっています。抗生物質の発達した時代に、なぜ?とお思いでしょうが、最近は、その抗生物質も効かなくなった耐性菌が増加してきているからです。特に免疫力の低下したお年寄りは、なおさらです。そのような訳で、予防医療の立場から肺炎を予防するワクチンに対する期待が高まってきています。
 そこで、開発されたのが、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)です。ニューモバックスは10年ほど前から臨床応用されてはいましたが、保険診療が認められず、やや高額であることから余り普及はしていませんでした。しかし、以上のような理由と、インフルエンザワクチン同様に一部自治体による公費助成がなされるようになってから、急激に接種者が増えてきています。実際、私の住んでいる鷹巣町では、昨年から65歳以上の人に一部、公費助成(3000円)が実施されたことにより、かなりの人が接種しました。
 それでは、このワクチンを接種すれば、肺炎に絶対に罹らないでしょうか? 残念ながら、そうではありません。肺炎を引き起こす原因は、細菌以外にも沢山あります。しかし、肺炎を引き起こす約4割が、この肺炎球菌といわれていますので、この菌のワクチンを打って、免疫力を高めておけば、肺炎に罹る確率を低く出来るということです。インフルエンザワクチンも行えば、さらに有効とされています(インフルエンザワクチンと併用する場合は、1週間以上の間隔をあける必要がありますが)。先に、高額(7000円前後)であると言いましたが、インフルエンザワクチンは、毎年、接種しなければならないのですが、このワクチンは、5〜7年程効力があります。そのことと費用対効果(肺炎に罹って入院した場合の費用)を考えるとそれほど高いと思いません。
 副作用が、心配の方もおられるかと思いますが、ほとんど心配ありません。インフルエンザワクチンのそれとほぼ同じ程度の副作用と思って頂いて結構です。すなわち、ワクチン接種後、注射部位の軽い腫れや痛み、軽い発熱がみられる人もいますが、これらの症状は3日程度でおさまります。
 どんな人が、このワクチンを接種したらよいのでしょうか? 慢性の呼吸器疾患を有している人や人工透析をされている慢性の高度機能不全者は、65歳にならなくとも接種された方が良いでしょう。特に、脾臓を摘出された人や長期にわたって副腎皮質ホルモン剤を服用されている人は免疫力が低下していますので、適応となります。
 今年の、鷹巣町の本ワクチンに対する助成実施期間は、昨年の10月より早まって、6月1日から10月30日までとの連絡が届いています。インフルエンザワクチンに対する各自治体の公費助成は、一般化されましたが、鷹巣町以外の町村にも普及し、出来るだけ多くの高齢者や対象者が、本ワクチンを接種し、肺炎予防に努めてほしいものです。

(平成16年6月11日掲載)

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